SBIグループが、日本円に連動するステーブルコイン「JPYSC」を週内にも発行する。発行に必要な金融庁の承認を得たと、日本経済新聞が6月23日に報じた。裏付け資産を信託会社が管理する「3号電子決済手段(信託型)」のステーブルコインとしては、国内初の発行事例となる見通しだ。
JPYCの100万円制限を解消、大口取引の需要開拓へ
JPYSCの発行者はSBI新生信託銀行が務め、暗号資産(仮想通貨)交換業者のSBIVCトレードが取り扱う。シンガポールのフィンテック企業であるスターテイルグループと共同開発した。証券や銀行などグループ内の金融サービスと組み合わせ、利便性を高める狙いがある。
すでに国内には日本円ステーブルコイン「JPYC」が存在するが、「1号電子決済手段」としての発行であるため、規制により1度の発行額が100万円までに制限されている。今回承認されたJPYSCは「3号電子決済手段(信託型)」にあたり、このような発行額に上限がない点が特徴だ。
この上限撤廃により、従来は対応が難しかった大口取引が可能となる。銀行送金などに比べて手数料が大幅に安く、即時に決済できる特性を生かし、SBIグループは大口決済の需要を取り込む方針を示している。
主なターゲットとして想定されているのは、国内の暗号資産に投資する機関投資家や、国内外で決済需要のあるグローバル企業だ。為替変動のリスクが抑えられるため、こうした層のJPYSCの利用を見込んでいる。
決済網の拡大とメガバンクの動向
同グループは将来的な構想として、事業者に加え、QRコードなどと連携した飲食店や小売店での支払い手段への普及を掲げている。さらに、利用者が購入したJPYSCをグループ側に貸し出し、運用による金利収入を利用者に還元するレンディング事業の展開も計画しているという。
ステーブルコインを巡っては、既存の金融機関による動きも活発化している。三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3メガバンクも、2026年度中の共同発行に向けた検討を進めている。
上限なしの即時決済が実現することで、時間と高い手数料を要していたクロスボーダーの企業間取引が根本から変わる可能性がある。SBIがメガバンクに先駆けて信託型を発行した意義は大きく、国内の覇権争いは激化するだろう。
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