米ニューヨーク南部地区連邦検察は5日、NFTマーケットプレイスの開発を掲げていた新興企業「Few and Far(フュー・アンド・ファー)」の創業者タージ・ターシャ被告を、証券詐欺と電信詐欺の罪で起訴したと発表した。被告は投資家から集めた資金を私的に流用したとされる。
被告はフロリダ州マイアミ在住の34歳で、6月6日に逮捕されていた。ニューヨーク南部地区連邦検事局のショーン・S・バックリー次席連邦検事は、被告が投資家の信頼を裏切り、資金を私的な利益のために盗んだと述べた。
SAFTで1,000万ドル超を調達
起訴状によると、被告は同社の唯一の株式保有者だった。同社は分散型のNFTマーケットプレイスを開発中とうたっていた。
被告は2022年2月から、SAFT(将来のトークンに関する簡易契約)で出資を募った。投資家が前払いし、後日トークンを受け取る権利を得る仕組みで、対象は独自トークン「FAR」だった。
募集資料では、資金をマーケットプレイスとFARトークンの開発に充てると約束していた。被告はこの販売で、少なくとも67人の投資家に9,500万枚のFARトークンを売り、1,000万ドルを超える資金を集めた。
オンラインカジノや不動産に流用
しかし被告は、ほぼ直後から資金を私的に使い始めたとされる。使途にはオンラインカジノでのギャンブルや、投機的な暗号資産の購入が含まれていた。
さらに被告は、正当な報酬を装って100万ドル近くを引き出したとされる。内訳は2回の賞与と高額な給与で、賞与は投資家と共同創業者に対して意図的に隠していた。給与についても、同社に製品がなく収益がない状況では不相応だと自ら認識していたという。
2023年6月には監査によって流用が発覚した。被告は投資家に対し、賞与はFARトークンのプレセール目標に連動したものであり、すべての取引は会社のためだったと虚偽の説明をしたとされる。
開発を装いながら流用を継続
実際には、被告はこの時点でほぼ全従業員を解雇していた。残った業務委託先には、開発が続いているように見せかけるだけの作業を指示していたという。
その後も少なくとも1年間、投資家の資金は私的な支出に充てられた。暗号資産の購入のほか、マイアミのコンドミニアムのローンや内装デザインの費用、被告のDJ活動にも使われたとされる。
2024年5月にFARトークンはようやく公開されたが、実質的に無価値で、まもなく取引が停止した。
証券詐欺と電信詐欺の法定刑は、いずれも最長で禁錮20年だ。ただし実際の量刑は裁判官が決める。捜査はFBI(連邦捜査局)が担当し、裁判はルイス・A・カプラン連邦地裁判事が担当する。
起訴の内容はあくまで訴追側の主張であり、被告は有罪が確定するまで無罪と推定される。


