金融庁は8月6日、警察庁と連名で日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)に対し、暗号資産(仮想通貨)を用いた詐欺被害等防止に向けた対策の一層の強化を要請した。口座開設時の審査厳格化や暗号資産の出庫制限などを含む、具体的な対応策を全ての暗号資産交換業者に対して求めている。
金融犯罪対策が急務に。金融庁が抱く強い危機感
金融庁の発表資料によると、現在「SNS型投資・ロマンス詐欺」の被害が急増しており、暗号資産が交付に用いられる事例が年々増加傾向にある。金融機関の各種対策にもかかわらず手口が巧妙化し、特殊詐欺の被害金が暗号資産交換業者の口座へ送金される事例も発生している。
また、暗号資産取引は非対面が一般的であり、対策が不十分な業者が犯罪者に狙われやすい傾向がある。同庁はこうした顧客被害が拡大する情勢を踏まえ、金融犯罪への対策が急務だと説明している。そのため、規模を問わず全ての業者に対して新たな対策の実施を求めた。
出庫制限の導入とモニタリング高度化
具体的な要請内容には、口座への法定通貨の入金後、あるいは暗号資産の購入後、一定期間にわたる暗号資産の外部送金(出庫)制限が盛り込まれた。さらに、出庫先情報の事前登録制の導入や、新規登録直後の出庫制限措置もあわせて求めている。
顧客のリスク評価や属性、保有資産額などに応じた暗号資産の出庫限度額の適切な設定も提示された。限度額を引き上げる際や、出庫制限の解除直後に多額・多頻度の出庫を行う顧客に対しては、取引背景の厳格な確認を各業者に促している。
取引およびアクセス環境のモニタリング強化も重点項目となっている。最新の詐欺パターンに着目した検知シナリオの適用や、疑わしい取引を検知した際の迅速な取引制限、口座凍結の検討が含まれる。また、警察への情報提供など連携強化も明記された。
口座開設時の審査においては、本人確認書類の真正性確認や、不正利用リスクが高い顧客の利用目的の厳格な確認が求められる。金融庁は、システム対応等で直ちに対策を講じることが困難な場合でも、計画的に対応を進めることが重要だと述べている。
今回の金融庁の要請は、SNS型詐欺の被害増大に対する強い危機感の表れと言える。出庫先の事前登録や一定期間の制限措置は、不正な資金流出の防止に直結する有効な手段だ。一方でユーザーにとっては送金時のハードルが上がり、機動的な取引が制限される側面もあるため、事業者には安全性と利便性を両立させる工夫が求められる。
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