米クラウドサービス大手のクラウドフレアは4日、AIエージェント向けの決済・身元確認基盤「クラウドフレア・ウォレット」を発表した。AIがステーブルコインでAPIやコンテンツを自律的に購入する環境を目指す。同日始まったのはハンドル名の予約受付で、決済機能の提供は「近日」としている。
まず提供されるのはハンドル名の予約
クラウドフレアによると、現時点で利用できるのは「cloudflare.pay」でのハンドル名の取得のみだ。ウォレットの設定や、それを用いたAPI・コンテンツの購入は、今後提供する予定だとしている。
同社は今月、ウェブサイトやアプリの提供者が収益を得るための「収益化ゲートウェイ(Monetization Gateway)」を発表済みだ。この基盤は決済プロトコル「x402」を用いた少額決済に対応する予定で、AI推論からデータ、コンテンツまでの支払いを想定している。
今回のウォレットは、この決済網で支払う側のツールと位置づけられている。
「アカウント」と「バーチャル」の2種類を構想
ウォレットは、人間が管理する「アカウントウォレット」と、AIが利用する「バーチャルウォレット」の2種類で構成される計画だ。
アカウントウォレットは、クラウドフレアのアカウント所有者である人間向けのものだ。資金の追加、バーチャルウォレットへの支出の委任、資金の引き出しができるようにするとしている。
バーチャルウォレットはAIエージェント向けで、APIキーを通じて動作する。エージェントは付与された権限の範囲内で資金を使えるが、その上限はアカウントウォレットの所有者が設定した額に制限される。人間が都度承認しなくてもエージェントが自律的に動ける一方、使いすぎを防ぐ仕組みだ。
クラウドフレアは、この上限が一見すると制約に見えても、かえってエージェントの自由度を高めると説明する。例えばエージェントに10ドルを預ければ、1,000ドルを預ける場合より支出を心配せずに済む。APIを試すのに数セントしかかからないなら、10ドルでも多くの選択肢を試して評価できるとしている。
AIに「人が読める識別子」を付与
決済機能だけでなく、AIの身元確認の課題にも対応する構想だ。従来、サービス提供側はサイトを訪れたAIが誰の代理なのかを把握しにくく、人間や組織には出しやすい無料トライアルや初回特典を、AIには提供しづらい背景があった。
クラウドフレアは、ウォレットとアカウントを「cloudflare.pay」で紐づけることで、AIが任意で自らの身元を示せるようにするとしている。具体的には「research.example.cloudflare.pay」のように、どの組織のエージェントかが分かるURL形式のハンドル名を付与できる仕組みだ。
身元を明かすかどうかはエージェント側の任意で、取引相手を選ぶかどうかは事業者側の判断に委ねられる。
同社はこの識別子を、DNSがIPアドレスに人が読める名前を対応させる仕組みになぞらえた。読み取りにくい鍵ペアに、覚えやすく宣言しやすい名前を与えるアプローチだとしている。
「ヘッドレスな市場」の構築を目指す
資金の入出金(オンランプ・オフランプ)機能は、対象地域で順次サポートする予定だ。対象となる利用者には、ステーブルコインによる自己資金化も代替手段として用意するとしている。
クラウドフレアは、売り手向けの収益化ゲートウェイ、買い手向けのウォレット、身元確認の3つを組み合わせ、インターネット上に「ヘッドレスな市場」を作ると説明する。ウェブトラフィックの大半がすでにボットによるものだとし、エージェントと事業者に本格的な取引ツールを提供したいとしている。
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