暗号資産(仮想通貨)取引所バイビットは7日、2025年2月に発生したサイバー攻撃をめぐり、北朝鮮などを相手取る民事訴訟を提起していたことと、盗難資産の移転・処分を禁じる仮差止命令を米裁判所から得たことを発表した。攻撃による被害額は約15億ドル(約2,369億円)で、記録上最大の暗号資産の窃盗とされる。
訴訟は2026年6月18日に米ワシントンD.C.連邦地方裁判所へ提起されており、被告には北朝鮮(DPRK)、同国の偵察総局(RGB)、ラザルス・グループのほか、身元不明の20の個人・組織が含まれている。
米裁判所が盗難資産の移転・処分を禁止
バイビットは6月18日、訴訟手続きを非公開とするよう申し立て、裁判所がこれを認めた。事件はその後も非公開(封印)状態で進み、8月6日に一部資料を除いて公開されている。
根拠法は、組織犯罪の摘発を目的とする威力脅迫及び腐敗組織に関する法律(RICO法)である。バイビットは盗難資金の返還に加え、被害額に相当する約15億ドルの損害賠償と、懲罰的損害賠償を求めている。
裁判所は6月19日に一時的差止命令(TRO)を認め、7月30日には仮差止命令へ移行。特定された盗難資産の移転や処分を禁じた。
裁判所はTROを認めた際、本件を史上最大級の暗号資産の窃盗の一つと表現している。仮差止命令にあたっては、バイビットが本案で勝訴する可能性を示したとも認定した。
バイビットは、米当局がラザルス・グループを北朝鮮に関連するハッキンググループとして特定していると説明している。こうした法的措置を通じ、同社は盗難資産の回収とサイバー犯罪への責任追及を進める方針だ。
盗難資産約76億円を回収、約48億円超を凍結
2025年2月の攻撃以降、バイビットは盗難資産のうち約4,840万ドル(約76.4億円)を回収したことを明らかにした。また、28以上の暗号資産取引所やカストディアンでは、3,050万ドル超(約48.2億円)の盗難資産が凍結されているという。
ただし回収額は被害総額の約3%にとどまる。凍結分を合わせた合計は約7,890万ドル(約124.6億円)で、それでも約5%の水準である。
資産回収・凍結に向け、バイビットはブロックチェーン分析企業や取引所、カストディアン、国際的な法執行機関と連携している。FBIにも調査結果やブロックチェーン分析情報を共有していると説明した。
こうした協力を続ける中、バイビット共同創業者兼CEOのベン・チョウ氏は8日、今回の攻撃は同社だけの問題ではなく、サイバー犯罪は暗号資産業界全体にとって脅威だとの認識をXで示した。
同氏は、今回の対応で終わりではなく、今後も継続して盗難資産の追跡や凍結に取り組む姿勢を示している。あわせて、利用可能な手段を活用しながら、関係機関との協力を続けていく考えを強調した。
民事手続きは今後も継続し、バイビットは追加の司法上の救済を求めていく方針を示している。今後、仮差止命令によって保全された盗難資産の回収がどこまで進むかが焦点となりそうだ。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=157.9円)


