SBIホールディングスは1日、2026年3月期の決算説明会を開催し、過去最高益となる好業績を発表した。北尾吉孝CEOは、従来の金融事業の躍進に加え、AIとブロックチェーン技術を駆使したオンチェーン化を推し進め、次世代の金融サービスを牽引していく戦略を明らかにした。
1.2兆円の巨大基盤と「上限なし」ステーブルコインの衝撃
同社の暗号資産事業は預かり資産残高が1兆2,000億円を突破し、国内トップクラスに成長した。北尾氏はこの強固な顧客基盤を背景に、国内発のWeb3企業スターテイルグループとの協業を強調。2026年第1四半期を目標に円建てステーブルコインを発行する計画だ。
新たなステーブルコインは、信託銀行の仕組みを使う「第3号電子決済手段」として発行される。最大の強みは送金額に上限がないことだ。先行するJPYC社のステーブルコインは「第1号」にあたり1回100万円の送金上限があるが、SBIはこれに縛られず大口決済の需要を取り込める。
北尾氏はこの利点を強調する一方で、既存の円建てステーブルコイン「JPYC」の発行体であるJPYC社について「流通量が小さくインパクトがない」と批判。過去に同社へ買収を打診したものの、提示額が高額だったために交渉から手を引いた事実を明かした。
買収断念の理由について、北尾氏は「どうせうちが作って動き出したら相手は潰れてしまう」と語気を強めた。送金上限のない独自の信託型ステーブルコインと、圧倒的な顧客基盤を持つ自社サービスに対する絶対的な自信を覗かせた。
AI金融とETF解禁、ネオメディア構想
次世代金融の要として、北尾氏は「AIエージェント」とオンチェーンの融合を挙げた。将来はAI同士が自律的に取引を行い、少額決済が頻発して取引量が爆発的に増加すると予測。この変化に対応するため、特定のチェーンに依存しないマルチチェーン戦略を進めると説明した。
国内の規制環境についても言及した。最大55%の雑所得となっていた暗号資産税制を批判しつつ、申告分離課税への移行に道筋がついた現状を評価。その上で「まだ変わらないのがETFだ」と述べ、暗号資産ETFの即時承認を金融庁へ強く求めていることを明かした。
金融領域にとどまらず、メディアやエンタメ領域とWeb3を融合させる「ネオメディア生態系」の構築にも意欲を見せた。現在のコンテンツビジネスは、巨大なプラットフォーム企業ばかりが利益を得る構造になっていると指摘した。
この課題解決に向け、スターテイル社の技術を活用して多様なIP(知的財産)のトークン化を推進する。ブロックチェーンのスマートコントラクトを用いることで、コンテンツ制作者へ自動的かつ公平に利益が配分される仕組みを作り上げると語った。
SBIの信託型ステーブルコインは送金上限がなく、企業間決済のゲームチェンジャーとなる。先行企業への強気な姿勢は、圧倒的な自社経済圏に対する自信の表れであり、国内Web3決済市場の覇権を握る強力な布石だ。
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