フランスのIoT向け半導体企業シークアンス・コミュニケーションズ(NYSE:SQNS)は28日、保有するビットコイン(BTC)の一部を売却し、2025年7月に発行した転換社債の残額をすべて償還したと発表した。これにより、同社はデジタル資産を活用したトレジャリー戦略を終了し、本業であるIoT半導体事業の成長に経営資源を集中させる方針を明確にした。
バランスシートを強化し、5Gロードマップを推進
シークアンスは、4G LTE-MやCat-1bisチップセットなど、スマートメーターや資産追跡、産業IoT向けの通信ソリューションを提供するファブレス半導体企業だ。今回の転換社債の全額償還により、同社はほぼ無借金のバランスシートへと移行し、財務的な柔軟性を大幅に向上させた。なお、同社は現在も約658BTCを保有しており、これらはすべて無担保で制限のない状態にあるが、今後は時間をかけて段階的に売却していく予定だという。
同社のジョルジュ・カラムCEOは、今回の債務償還がシークアンスにとって重要な転換点になると強調している。バランスシートの強化と資本構成の簡素化を実現したことで、今後はIoT半導体事業のスケールアップに完全集中できる体制が整った。具体的には、成長を続ける4GおよびRFトランシーバー製品のポートフォリオを実行し、収益化への道筋を加速させるとともに、次世代の通信規格である5G eRedCapのロードマップを前進させることを最優先課題に掲げている。
シークアンスは2025年6月にビットコイン・トレジャリー戦略を開始し、約1億9,500万ドルの株式発行と1億8,900万ドルの転換社債を通じて合計約3,234 BTCを平均116,643ドルで取得した。しかし、その後BTCの価格は下落し、2025年の年次報告書では約6,740万ドルの未実現評価損を計上。今回の全額償還時点でのBTC価格は約7万3,000ドル前後と、購入平均価格を大きく下回っており、損失を抱えたままの売却となった形だ。同社は、防衛やドローンシステムなど、高度なセキュリティとパフォーマンスが求められるソフトウェア無線アプリケーション向けのRFトランシーバーでも需要を伸ばしており、今後の事業展開が注目される。
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