ナスダック上場のエンペリー・デジタル(旧Volcon、EMPD)は10日、5月7日以降にビットコイン(BTC)1,400枚を売却したと米証券取引委員会(SEC)に提出したフォーム8-Kで明らかにした。平均売却価格は1BTC
BTCあたり6万2,200ドルで、粗収入は約8,710万ドル(約141億円)に上る。
売却資金の使途は債務返済とデータセンター投資
SEC提出書類によると、売却で得た資金の使途は3つだ。7月7日に実施した1,000万ドルの債務返済、以前発表した不動産(データセンター)取得の資金、そして株主代表訴訟の防衛にかかる法務費用と運転資金である。
7月10日時点で、同社のトレジャリーはビットコイン1,514枚と現金約7,390万ドルで構成される。債務施設の残高は4,500万ドルとなっている。署名者は最高財務責任者(CFO)のグレッグ・エンドウ氏。
売却の背景にあるのが、6万2,200ドルという平均取得価格だ。同社が積み増してきた保有分の一部を、現在の相場水準で現金化した形となる。
ビットコイン戦略からAIインフラ投資へ転換
売却資金の主な振り向け先となるデータセンター案件について、業界メディアのデータセンターダイナミクス(DCD)が7月7日に報じている。同メディアによると、エンペリーはハント・プロパティーズ系のビークルに6,500万ドルを出資し、米中西部の工業用地をAIデータセンターに転換する取引で25%の持ち分を取得する。
DCDの報道では、対象施設は既存の電力契約のもとで約150メガワット(MW)の電力容量を持ち、増強により約300MWまで拡張できる可能性があるという。買収総額は約2億3,000万ドルで、デューデリジェンス期間は7月29日ごろまで、取引完了は2026年第3四半期を見込むとされる。ただし成立の保証はないとしている。
DCDは、この動きをエンペリーの資本配分戦略の転換と位置づけた。同社は2025年7月にVolconから現社名へ変更し、ビットコインを財務の中核に据えるトレジャリー戦略へ移行した経緯がある。同メディアによると、同社は現在もビットコインを保有するものの、これ以上の積み増しは計画しておらず、本プロジェクトや将来の類似案件の資金のためにビットコインを売却する可能性があるとしている。
2024年から2025年にかけて拡大したビットコイン財務戦略は、2026年に入り曲がり角を迎えている。多くの企業で株価が保有ビットコインの価値を下回り、株式発行による積み増しが難しくなったためだ。大手が積み増しを続ける一方、一部の中小企業は保有分を売却して債務返済やAIインフラ投資に振り向ける動きを見せており、エンペリーの今回の開示もその流れに沿ったものといえる。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=161.8円)



