国際決済銀行(BIS)は28日、2026年版の年次経済報告書を公表し、現在の設計のステーブルコインは「貨幣」としての基本的な要件を満たしていないとの見方を示した。同行は、ステーブルコインが金融システムの信頼や安定性に影響を及ぼす可能性があるとしている。
中央銀行貨幣との接続が信頼の焦点に
BISは、信頼できる貨幣制度にはさまざまな形の貨幣が中央銀行貨幣と額面通りに交換できる「貨幣の単一性」が欠かせないと説明した。この仕組みにより、支払いの場面で貨幣が疑問なく受け入れられるとしている。
同行によると、ステーブルコインはこの条件を十分に満たしていないという。米ドルなどに価値を連動させる設計であっても、二次市場では価格が乖離することがあるためだとしている。
こうした性質から、BISは償還に制限やコストが生じるケースについても指摘。ステーブルコインに対して「決済手段というより上場投資信託(ETF)のシェアに近い」との見方を示した。
なお、ステーブルコインの移転は、中央銀行のバランスシート上で直接または間接的に決済される仕組みではない。BISはこの点も、中央銀行貨幣に裏付けられた最終的な安全性を確保しにくい課題として挙げている。
ステーブルコイン普及時の金融安定リスクにも言及
金融安定の面では、銀行預金からステーブルコインへの資金移動が論点になる。BISは、家計が銀行預金をステーブルコインへ移せば、銀行の資金調達コストが上がり、実体経済への貸出が減る可能性があると説明した。
また、BISは大量の償還が起きた場合の影響にも触れた。発行者が保有する短期国債などの準備資産が売却されれば、マネーマーケットや資金調達環境に混乱が広がる恐れがあるとしている。
もっともBISは、トークン化の利点そのものを否定しているわけではない。中央銀行が発行するトークン化された準備預金を信頼の軸とし、その上で商業銀行の預金などを統合する仕組みを提案している。
ステーブルコインは決済やトークン化金融の分野で存在感を高めている。利便性を生かしながら、貨幣としての信頼をどう確保するか。今後はこの点が、規制や金融インフラ設計の焦点となりそうだ。
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