米下院歳入委員会のジェイソン・スミス委員長(共和党・ミズーリ州選出)は4日、デジタル資産の税制枠組みを構築する7本の法案パッケージを週内にも発表することが明らかになった。米財務省も法案策定プロセスに関与しており、提出後の最初の公聴会は9日に同委員会の完全委員会レベルで開催される予定だ。これは米国の議会税制委員会のリーダーシップが主導するデジタル資産税制法案として、上下両院を通じて初めての本格的な動きとなる。
提案される7法案の主要論点
ブルームバーグの報道によれば、提案される7本の法案は、暗号資産に関する税制上の長年の不明確さを包括的に整理することを目的としている。各法案の正式テキストは委員会から週内に公開される見込みで、現時点で同報道に基づき明らかになっている主要論点として、以下が挙げられている。
- マイニングおよびステーキングで得たトークンの課税時期(受領時か売却時か)の明確化
- 特定の少額ステーブルコイン取引に対するキャピタルゲイン税の免除
- デジタル資産と従来の証券との平等な課税処理(parity)の確立
- 外国投資家が米国証券を取引しても国内法人税が発生しないようにするセーフハーバー規定
- 株式取引で適用されるウォッシュセールルール(同一銘柄の損益操作規制)のデジタル資産への拡大
議会動向追跡サービスLegis1によれば、これらの論点は、推定約5,000万人とされる米国のデジタル資産保有者の納税義務や、IRS(米内国歳入庁)の執行優先順位に直接影響する重要な項目である。
委員会リーダーシップ主導という意義
スミス委員長は5月にも超党派の議員ブリーフィングを開催するなど、デジタル資産税制の枠組み構築を委員会の最優先事項と位置付けてきた。これまで、デジタル資産の課税に関する個別の議員提案は複数存在しており、特にスティーブン・ホースフォード議員(民主党・ネバダ州)とマックス・ミラー議員(共和党・オハイオ州)が共同提出したPARITY法案が知られている。Legis1の報告によれば、同法案は3月26日に改訂版ディスカッションドラフトが公開されており、複数の法律事務所の解説によれば、ウォッシュセールルールのデジタル資産への適用や、ステーキング報酬の課税を最大5年間繰り延べる選択肢などが盛り込まれている。
ただし、今回準備されている7法案は、議会の税制起草を担う上下両院いずれかの委員会リーダーシップが直接主導する初の本格的な取り組みとなる点で、これまでの個別議員提案と質的に異なる。スミス委員長はかねて「デジタル資産関連の立法は超党派の支持が前提」と発言しており、民主党側のリチャード・ニール筆頭委員らとの調整が今後の焦点となる。
公聴会と今後の展望
Legis1によれば、歳入委員会は9日に完全委員会レベルでのデジタル資産税制公聴会の開催を予定しており、業界関係者や納税専門家の意見を踏まえた審議が始まる見通しだ。暗号資産業界団体Crypto Council for Innovation(CCI)も同日の公聴会開催を歓迎する声明を公表している。
米証券法に基づくマーケットストラクチャー法案が上院で審議の停滞に直面するなか、税制側からの動きが連邦レベルの暗号資産規制を実質的に前進させるかが注目される。法案の正式な議会提出と委員会マークアップに向け、まずは民主党側の支持取り付けが当面の鍵となる。
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