米商品先物取引委員会(CFTC)は11日、暗号資産(仮想通貨)投資会社ゴリアテ・ベンチャーズと同社CEOのクリストファー・デルガド被告を、フロリダ州中部地区連邦地方裁判所に提訴したと発表した。ポンジ・スキームを運営していたとしている。
同日、米証券取引委員会(SEC)も別途の民事訴訟を提起した。
CFTCは顧客資金の全額流用を主張
CFTCの訴状によると、被告らはビットコイン(
BTC)やイーサリアム(
ETH)を含む暗号資産取引の名目で一般から資金を募った。約1,600人の顧客が、少なくとも3億9,700万ドル(約632億4,000万円)を拠出したとされる。
表明とは異なり、被告らは顧客資金を全額流用したとCFTCは主張する。既存顧客への架空の利益支払いと、デルガド被告の贅沢な生活の原資に充てていたという。元本や利益の返還を偽って保証し、存在しない利益を記載した虚偽の取引報告書も発行していたとされる。
CFTCが求めているのは、被害弁償、不当利得の吐き出し、民事制裁金、取引・登録の禁止、そして商品取引所法とCFTC規則の違反に対する恒久的差止命令である。
セリグ委員長は、悪質な行為者を処罰する一方で、善良な事業者が米国内で事業を構築できるよう明確なルールを整備すると述べた。ミラー執行部門長官も、デジタル商品に関する詐欺への対応で執行部門が重要な役割を果たし続けるとしている。
SECの訴状は「流動性プールに一切投資せず」
SECの訴状は、より具体的な手口を記載している。
2023年1月から2026年1月にかけて、被告らは未登録の証券募集を通じてポンジ・スキームを運営した。投資家はゴリアテと「パートナー」となり、同社が運用するとされる暗号資産の流動性プールに投資する仕組みである。
売買当事者が支払う手数料を原資として、月3〜10%の利益分配を約束し、元本の返還も保証していたという。
ところがSECによれば、被告らは投資家の資金も暗号資産も、流動性プールに一切投資していなかった。デルガド被告は少なくとも5,100万ドル(約81億2,000万円)を私的に流用し、住宅、高級車、ヨット、旅行の購入に充てたとされる。
新旧の投資家から集めた資金で、先行する投資家への配当を賄っていた。営業担当者を雇って投資家を勧誘させ、その報酬も投資家の資金から支払っていたという。口座残高や運用実績の数値も捏造していたとされる。
破綻は2025年11月だ。新規資金の調達が既存投資家への返済に追いつかなくなり、月次の分配が停止した。
デルガド被告はSECとの間で、2段階の和解に同意した。裁判所の承認を条件に、証券関連法規の違反禁止、証券の発行・購入・売買への関与の禁止(個人口座での一部取引を除く)、ブローカー・ディーラーとしての活動や関与の禁止を命じる判決を受け入れる。
不当利得の返還と民事制裁金の金額は、今後SECの申立てを受けて裁判所が決める。
刑事は有罪答弁済み、量刑は10月21日
デルガド被告は6月、フロリダ州中部地区連邦検事局の刑事事件で有罪を認めている。オーランドの連邦裁判所で、10月21日午前9時に量刑手続きが予定されている。担当はグレゴリー・A・プレスネル判事だ。
同被告は2026年2月、電信詐欺と資金洗浄の容疑で逮捕された。当時34歳、フロリダ州アポプカ在住である。同社は旧称をGen-Z Venture Firmといい、デルガド被告は社長兼CEOを務めていた。
検察の主張によれば、勧誘には個人的な紹介、作り込んだ販促資料、豪華なイベント、慈善事業への協賛、そして実際に支払われる月次の「配当」が使われた。いずれも同社の信用を演出するためのものだったとされる。集めた資金は少なくとも3億2,800万ドル(約522億5,000万円)に上る。
資金の使途として検察が挙げるのは、先行投資家への配当、解約請求への対応、そして豪華な社内イベントやクリスマスパーティー、高級旅行である。デルガド被告は複数の住宅も購入した。
米国は2026年2月から資産の差し押さえを進めており、不動産7件と車両11台について民事没収を申し立てている。訴状によると、住宅とオフィスの購入に約1,700万ドル(約27億1,000万円)、11台の車両に250万ドル(約4億円)超が投資家の資金から支出された。
被害額は3機関で異なる
3つの手続きで示された金額と人数は一致していない。CFTCは約1,600人・3億9,700万ドル、SECは1,300人超・4億2,500万ドル(約677億円)、司法省は3億2,800万ドルとしている。
各機関が管轄する法律と、対象とする取引の範囲が異なるためとみられる。CFTCは商品取引所法、SECは証券法・証券取引所法、司法省は刑事法をそれぞれ根拠としている。
刑事事件についてはデルガド被告が有罪を認めているが、CFTCの民事訴訟における主張は、現時点で裁判所の判断を経ていない。
連邦当局による刑事捜査は継続中で、IRS犯罪捜査局は被害者からの情報提供を受け付けている。
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