ether.fi/イーサファイ (ETHFI)
イーサファイ(ETHFI)とは?
イーサファイ(ETHFI)は、ether.fiプロトコルを運営するガバナンストークンです。イーサファイはイーサリアムブロックチェーン上で発行されたERC-20規格のトークンであり、ether.fiエコシステム全体のガバナンス(運営・意思決定)やプロトコルの成長戦略に関わる中核的な役割を担っています。
ether.fiは、イーサリアムのリキッドリステーキングプロトコルです。リキッドステーキングは、ステーキング中の資産をトークン化して流動性を維持する仕組みです。リステーキングとは、ステーキングされたETH
ETHをEigenLayer(アイゲンレイヤー)に再度預け入れ、追加の報酬機会を得る仕組みを指します。
ユーザーはETHを預け入れることで、リキッドリステーキングトークン「eETH」を受け取ります。eETHはリベース型のトークンで、ステーキング報酬やリステーキング報酬が自動的に残高に反映されます。また、eETHをラップ(変換)した「weETH」も利用でき、こちらはリベースしない固定供給型のERC-20トークンです。eETH/weETHはDeFiプロトコルで担保や流動性として活用できるため、資産をロックしたまま追加の運用機会を得ることが可能です。
バリデータの運用には、SSV Network経由のDVT(分散型バリデータ技術)が採用されており、複数のオペレーターで分散的にバリデータを運用することで単一障害点のリスクの軽減が図られています。
ether.fiのプロダクトは主にStake(ステーク)、Liquid(リキッド)、Cash(キャッシュ)の3つで構成されています。ステークではeETH/weETHに加え、eBTC(ビットコインのリステーキングトークン)やeUSD(ステーブルコインのリステーキングトークン)を提供しています。リキッドではDeFi(分散型金融)の自動運用ボールトを通じて、ユーザーの資産運用を自動化します。キャッシュではノンカストディアルのVisaクレジットカードを提供し、暗号資産のポートフォリオに接続して世界中で決済に利用できます。
イーサファイの主なユーティリティは以下の通りです。
- ガバナンス(投票)
- ステーキングによる報酬の獲得
- プロトコル収益の再分配
ガバナンスとして、イーサファイ保有者はプロトコルの主要なアップグレード、手数料などの変更、ノードオペレーターのホワイトリスト登録、アイゲンレイヤーのAVS(アクティブリー・バリデーテッド・サービス)におけるリステーキング先の決定などに関する提案・承認に参加することが可能です。投票はSnapshot(スナップショット)を通じて行われ、投票権の委任も可能です。
また、イーサファイをステーキングすると「sETHFI(エス・イーサファイ)」を受け取り、ether.fiのロイヤリティポイントやリステーキング報酬を獲得できます。さらに、バイバックプログラムによって取得されたイーサファイがエス・イーサファイ保有者に分配される仕組みがあり、プロトコル収益がステーカーに還元される設計となっています。
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イーサファイ(ETHFI)のトークノミクス
イーサファイは、ether.fiエコシステムの持続的な成長を支えるため、ガバナンス、ステーキング報酬、プロトコル収益の再分配など複数の機能が設計されています。
トークンの供給量と割り当て
イーサファイの総供給量は1,000,000,000 ETHFI(10億イーサファイ)で全量がミント済みであり、追加発行は行われません。
トークンの割り当ては以下の通りです。
| カテゴリ | 割合 | 用途 |
|---|---|---|
| 投資家 | 33.74% | ベスティング期間2年 |
| トレジャリー | 21.62% | エコシステムファンド(開発支援・プロジェクト資金提供) |
| コアコントリビューター | 21.47% | チームへの長期インセンティブ、ベスティング期間3年 |
| ユーザーエアドロップ | 19.27% | プロトコルへの貢献に応じた複数シーズンでの配布(シーズン1は総供給量の7.5%) |
| パートナーシップ&流動性 | 3.9% | 長期成長のための戦略的配分(Protocol Guildへの1%を含む) |
投資家への割り当ては2年間、コアコントリビューターへの割り当ては3年間のベスティングスケジュールが設定されています。すべてのベスティング対象者には1年間のクリフ(権利確定開始までの待機期間)が適用されます。
プロトコル収益の買い戻し(バイバック)
ether.fiは、2つの原資を元にしたバイバックプログラムを実施しています。
1つ目は「出金手数料収益によるバイバック」です。eETHの出金手数料(遅延出金・即時出金の両方)から得られる収益の100%がイーサファイのバイバックに充てられ、毎週実行されます。
2つ目は「プロトコル収益によるバイバック」です。ステーク、リキッド、キャッシュを含むether.fiプロトコル全体から得られる収益の一部がイーサファイのバイバックに充てられ、毎月実行されます。プロトコル収益バイバックの具体的な割合は公表されていません。
それぞれのバイバックで取得されたイーサファイも、エス・イーサファイ保有者に分配されます。また、DAOまたは財団の裁量により、オンチェーン流動性の強化にも一部が充てられる場合があります。
注意するべき観点
投資家の33.74%、コアコントリビューターの21.47%の割り当てが合計で約55%を占めており、ベスティング期間の終了に伴うアンロックが売り圧につながる可能性があります。また、バイバックプログラムはプロトコル収益に依存するため、ステーキング需要や分散型金融市場の動向により収益が変動する点にも注意が必要です。
イーサファイ(ETHFI)の将来性は?
ether.fiは、リキッドリステーキングプロトコルとして始まり、ステーキング・資産運用・決済を統合した分散型金融のインフラへと進化するビジョンを掲げています。
ガバナンスロードマップ
ether.fiは、段階的な分散化を進めるガバナンスロードマップを公開しています。トークンローンチと投票者の基盤を構築するフェーズ0は2024年3月に完了しており、ガバナンスの仕組みを本格稼働させプロトコルやトレジャリーの管理権限をコミュニティに移すフェーズ1、チームとコミュニティが協力してプロトコルを運営するフェーズ2、そしてガバナンス機能を完全に自動化しプロトコルを変更不要な状態にするフェーズ3へと段階的に移行する計画です。最終的にはイーサリアムのステーキングを支えるプロトコルとして機能することを目指しています。
ether.fi財団はトークン保有者の意思決定を監督・実行し、トレジャリーとプロトコルの管理を担う組織です。提案者とマルチシグ委員会の2つの役割が設けられ、分散化の進展に伴い独立した意思決定プロセスへと移行していく方針が示されています。
エコシステムの拡大
分散型金融や中央集権型取引所を含む400以上の統合したプロトコルが存在し、アーべ
AAVE、ペンドル
PENDLE、ギアボックスなどの主要な分散型金融プロトコルとも連携しています。eETH/weETHはこれらのプロトコル上でレンディングの担保やイールドファーミング(利回り獲得)に活用されており、ステーキング報酬に加えたさらなる運用機会を得ることが可能です。
ステークに加えてリキッドボールトによる自動運用やキャッシュカードによる実世界での決済利用など、分散型金融の利用範囲を広げるプロダクト展開が進められています。トークン配分にはProtocol Guild(イーサリアムのコア開発者支援プログラム)への1%のコミットメントが含まれており、イーサリアムエコシステム全体へ貢献する姿勢が示されています。
競合環境と差別化
リキッドステーキング市場には、Lido(リド)
LDOやRocket Pool(ロケットプール)、リステーキングプロトコル市場には、Renzo(レンゾ)やPuffer(パファー)などが存在します。ether.fiは、ノンカストディアルかつ分散型バリデータ技術を活用したバリデータ運用によるセキュリティ面での差別化に加え、リキッドボールトやキャッシュカードなどステーキング以外のプロダクト群を統合している点で、単純なリステーキングプロトコルとの差別化を図っています。
考慮すべきリスク
ether.fiはアイゲンレイヤーのリステーキングに依存しているため、アイゲンレイヤー側のスマートコントラクトの脆弱性やスラッシング(バリデータへのペナルティ)リスクが、ether.fiにも影響する可能性があります。リステーキングはステーキングに加えてスマートコントラクトの層が増えるため、障害が連鎖するリスクにも留意が必要です。
また、各国の暗号資産規制の動向によっては、分散型金融プロトコルの運営やリキッドステーキングトークンの取り扱いに影響が生じる可能性もあります。
また、トークンのアンロックによる売り圧力や、リキッドステーキング・リステーキング市場の競争激化により、プロトコルのTVL(預かり資産)やプロトコル収益が変動するリスクについても考慮することが大切です。