暗号資産(仮想通貨)ジャーナリストのローラ・シン氏は27日、ビットコイン(BTC)を大量保有する米ストラテジー(旧マイクロストラテジー、MSTR)について、本当のリスクはビットコインではなく、創業者マイケル・セイラー氏への意思決定の集中にあると分析した。自身のメディア「Unchained」での指摘だ。
優先株がすべて額面割れ
シン氏が問題視するのは、ストラテジーの資本構成だ。同社の優先株STRCは先週、額面の100ドルを割り込み、74.57ドルで終えた。実効利回りは約15%に達する。普通株(MSTR)も82.31ドルまで下げ、過去1年で約78%安となった。
ストラテジーが発行したドル建ての優先株は、いまやすべてが額面を下回っている。一つの銘柄の不調が、数日のうちに会社全体の急速な再評価につながった。
シン氏は、変わったのはビットコインではないと指摘する。BTCは6万ドルを割ったものの、前サイクルの安値は上回っている。一方で市場は、ストラテジーを「ビットコインの代理銘柄」としてではなく、一人の経営者の判断に賭けるレバレッジ商品として価格づけし始めた、という見方だ。
優先株は優先順位の順に再評価されている。シニアのSTRFは額面近辺を保つ一方、ジュニアのSTRDは約51ドルまで急落し、利回りは19%に達した。シン氏は、これは強制的な清算ではなく、信用力の格下げ(クレジット・リレーティング)だと位置づける。
配当負担をめぐり識者の見方も
シン氏が示すもう一つの論点が、配当の支払い能力だ。同社のダッシュボードでは配当カバレッジが約30年とされるが、これはセイラー氏が「売らない」と公言してきたビットコインを売却し、価格がこれ以上下がらない場合にのみ成立する。手元現金で見れば、カバーできるのは10カ月に満たないという。
この状況に、市場関係者も反応している。グレースケールのリサーチ責任者で元ゴールドマン・サックスのエコノミスト、ザック・パンドル氏は同日、来週のストラテジーについて見方を示した。
パンドル氏は、STRCの配当が0.5%引き上げられ、今後2年で約1億ドルの配当負担増につながると予想する。ただし、市場の信頼回復には恐らくつながらないとみる。一方で同氏は、30億ドル以上のビットコイン売却で今後2年の現金義務をほぼ賄えれば、信頼回復に資する可能性があるとの私見も付け加えた。
いずれも識者の分析や予想であり、確定した事実ではない。ビットコインを軸とするストラテジーの財務戦略が、配当負担や現金準備との整合性を問われる局面に入ったことは、複数の専門家が共通して指摘している。
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