米ビットコインマイニング最大手のMARA(マラ、ナスダック:MARA)は4月30日、エネルギー企業ロング・リッジ・エナジー&パワー(以下ロング・リッジ)をFTAIインフラストラクチャー(ナスダック:FIP)から約15億ドル(約2,356億円)で買収する最終契約を締結したと発表した。
505MWガス火力発電所と1,600エーカーを一括取得
買収対象はオハイオ州ハニバルに位置する505MW級コンバインドサイクルガスタービン(CCGT)発電所、1,600エーカー超の隣接地、および垂直統合されたガス供給設備を含む。ロング・リッジはPJM送電網における稼働率トップクラスのCCGTであり、発電量の約76%がヘッジ済みで安定したキャッシュフローを生む構造だ。オール・イン運用コストは約15ドル/MWhと構造的に低い。
同等の施設をゼロから建設した場合、推定16〜27億ドル超と7〜10年以上を要するとMARAは試算しており、買収コストが再建築費を大幅に下回るとしている。
マイニングからデジタルインフラ企業への転換加速
MARAはこの買収により自社保有・運用の電力容量を約65%拡大し、合計約2,229MWに引き上げる。ロング・リッジの施設はMARAが既に保有するハニバルのデータセンター(200MW)に隣接しており、統合キャンパスとして1GW超の電力容量を確保する計画だ。2030年までにAI・クリティカルITの負荷を最大600MWまで拡張する見通しで、最初のAI/HPC施設は2028年中盤の稼働開始を目指す。
フレッド・ティール会長兼CEOは「電力はAIにおける希少な入力資源だ」とし、大規模電力・土地・水利・燃料供給・系統接続を一カ所に備えた資産は市場で再現困難との認識を示した。
取引総額約15億ドルには少なくとも7億8,500万ドルの負債引受が含まれ、バークレイズがブリッジローンで支援する。MARAは3月末時点で5億ドル超の現金と、BTC換算で24億ドル超(1BTC=7万ドル想定)の流動性を保有しており、非希薄化での調達を見込む。クロージングは2026年下半期を予定し、HSR法および連邦エネルギー規制委員会(FERC)の承認が条件となる。
MARAの動きはビットコインマイニング業界全体で進むAI・データセンターへの事業転換と軌を一にする。ライオット・プラットフォームズがBTC売却益でAI転換を進め、ビットファームズが社名変更を伴うHPC事業への全面移行を発表するなど、マイニング企業各社がエネルギーインフラ企業としての再定義を急いでいる。MARAは約38,689BTC(3月27日時点)を保有する上場企業第4位のビットコイントレジャリー企業でもあり、マイニングとAIインフラの二軸体制を構築する戦略だ。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=157.07円)




