世界最大級のインデックス運用会社であるステート・ストリートは16日、ステーブルコインの裏付け資産運用に特化した専用MMF(マネー・マーケット・ファンド)の提供を開始した。2030年に最大4兆ドル規模への成長が予測される市場をにらみ、ウォール街の伝統的金融機関が暗号資産(仮想通貨)領域での事業展開をさらに加速させた。
元本保全と流動性を確保し、収益も追求する専用MMF
この動きは、ブラックロック、モルガン・スタンレー、JPモルガンなど、他の大手銀行によるトークン化の取り組みに続くものだ。
新たに立ち上げられたのは「ステート・ストリート・ステーブルコイン・リザーブス・MMF」だ。米国の投資会社法に基づく政府系マネー・マーケット・ファンドとして組成され、ステーブルコイン発行者が裏付け資産を安全に預け、運用するための専用の受け皿として設計されている。
公式ウェブサイトによれば、同ファンドの投資目標は、元本保全と流動性の確保を大前提としつつ、準備金の運用を通じた収益を獲得することだ。常に1株あたりの純資産価値(NAV)を1ドルに安定維持し、ステーブルコインに不可欠な価格安定を担保しながら、発行者の収益性も満たす仕組みとなっている。
新法「ジーニアス法」と拡大する市場
このファンドは、2025年7月に米国で成立した新法「ジーニアス法」に準拠している。同法により、政府系MMFをステーブルコインの準備金として合法的に活用するための、より明確な規制の枠組みが整備されたことが背景にある。
発表によると、機関投資家の参入加速によって世界のステーブルコイン発行額は、2030年までに1.9兆〜4兆ドルへ達すると予測されている。同社は市場規模の拡大に伴い、政府系MMFに裏付けられた安全性の高い準備金運用への需要が今後さらに高まると見込んでいる。
トークン化市場への包括的な戦略
同社はこれに先立ち、ステーブルコインを活用して24時間体制のオンチェーン資金管理を行う流動性ファンド「SWEEP」を導入している。これは機関投資家など、ステーブルコインを「使う側」に向けたソリューションであった。
今回、ステーブルコイン発行者向けに「裏付け資産運用」の専用ファンドを設立したことで、同社は暗号資産領域への関与を一段と深めたとしている。需要と供給の両面から暗号資産エコシステムの根幹インフラを支え、トークン化市場への参加を促す包括的な戦略を推し進める構えだ。
法定通貨と暗号資産を繋ぐステーブルコインは不可欠な金融インフラである。ステート・ストリートが24時間稼働のオンチェーン資金管理から準備金の運用まで、包括的な提供に動いた意味は大きい。伝統的金融によるインフラ整備が市場の透明性を飛躍的に高めるだろう。
関連:マイニング課税やステーブルコイン免除に道筋か──米下院、税制7法案を準備
関連:メガバンク3行が「共通ステーブルコイン」へ──2026年度中に実取引、協議会も設立



