米決済大手マスターカードは3日、ステーブルコイン基盤を手がけるBVNKの買収を完了したと発表した。法定通貨とデジタル通貨の相互運用性を高め、価値のやり取りにおける選択肢を広げる戦略の一環と位置づける。
同社は2026年3月に買収で最終合意しており、今回その手続きが完了した形だ。買収額は最大18億ドルで、うち3億ドルは一定の条件達成に応じて支払われる。ステーブルコイン関連の買収としては過去最大級となる。
「マルチマネー」時代の接続役を狙う
マスターカードの最高製品責任者を務めるJorn Lambert(ヨーン・ランバート)氏は、デジタル通貨、とりわけステーブルコインが「国境をまたぐ企業間決済や送金、支払い、決済、資金管理の流れといった領域で、現実のニーズに応えるようになってきた」と述べた。
その上で、法定通貨やステーブルコイン、トークン化預金などが共存する「マルチマネーの世界」では、次の決済のあり方は「それぞれのレール、ネットワーク、通貨の形態がいかに効果的につながり、協働するかによって決まる」と指摘。自社のグローバルネットワークとBVNKのオンチェーン基盤を組み合わせ、より効率的で信頼性の高い決済体験を届けられるとしている。
表に出ない「配管」を担うBVNK
BVNKは、法定通貨とオンチェーン決済を背後で支える基盤を提供する企業だ。個人や企業、機械が、安全性とコンプライアンス、相互運用性の枠組みの中で、法定通貨とデジタル通貨をまたいで価値を保有・移動・管理・交換できるようにする。2021年設立のロンドン拠点で、130カ国超と主要なブロックチェーンに対応する。
消費者向けのウォレットや取引所ではなく、企業が自らブロックチェーン基盤を構築せずにステーブルコイン決済を扱えるようにする、いわば決済の配管にあたる部分を担う。
マスターカードは、BVNKの技術と業界知見を組み合わせることで、金融機関やフィンテック企業、事業会社がステーブルコインやトークン化資産を用いた活用事例を拡大できるよう支援するとしている。
カード大手が示す本気度
マスターカードは200を超える国と地域で事業を展開しており、その世界的なネットワークにオンチェーン決済の機能が加わることになる。
ステーブルコインは、国境をまたぐ決済全体で見ればまだごく一部にとどまる。それでも、送金にかかる時間やコストの改善が見込める領域として、金融機関の関心は高まっている。カード大手が巨額を投じたことは、この分野が実験段階を越えつつあることを示す動きといえる。
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