ステーブルコイン最大手テザーは14日、自己管理型(セルフカストディアル)デジタルウォレット「tether.wallet」の正式ローンチを発表した。同社が160か国以上で展開するステーブルコインインフラを、初めてエンドユーザーが直接利用できるプロダクトとして提供する。
「メッセージを送るように送金」──アドレスの複雑さとガス代を排除
tether.walletの最大の特徴は、ブロックチェーン利用における技術的障壁を徹底的に排除した設計にある。送金先は従来の長いウォレットアドレスではなく、「user@tether.io」のようなメールアドレス形式の識別子を使用。入力ミスによる送金事故のリスクを大幅に低減した。
通常、ブロックチェーン上で送金を行うにはETHやSOLといったネットワーク手数料(ガス代)用の暗号資産を別途用意する必要がある。tether.walletではこの仕組みを改め、USDTを送金する場合はUSDTから、ビットコインを送る場合はビットコインから手数料が差し引かれるため、ガス代用の暗号資産を事前に購入・管理する手間がなくなる。これはブロックチェーン初心者にとって最大のハードルの一つを解消するものだ。
ウォレットは完全な自己管理型で、すべてのトランザクションはユーザーの端末上でローカルに署名される。秘密鍵やリカバリーフレーズはユーザーのみが管理し、テザー側は一切アクセスできない設計となっている。
USDT・金・ビットコインに対応──ライトニングネットワークも利用可能
ローンチ時点で対応する資産は、USDT(イーサリアム、ポリゴン、プラズマ、アービトラム)、テザーゴールド XAUT(同4チェーン)、USAT(イーサリアム)、ビットコイン(オンチェーンおよびライトニングネットワーク)の4種類。今後、対応チェーンを順次追加する予定だ。
アプリは利用可能なネットワークと残高を自動で表示し、ユーザーが基盤となるブロックチェーンを意識する必要がない設計を目指している。
5.7億人超の基盤──「人類史上最大の金融包摂」をウォレットで加速
テザーのパオロ・アルドイーノCEOは、プレスリリースの中で、テザーの技術を利用するユーザーが2026年3月時点で5億7,000万人を超えたと明かした。四半期あたり数千万単位のウォレットが新規に追加されているという。
同氏はtether.walletを「人々のウォレット(The People’s Wallet)」と位置づけ、数百億の人間、マシン、そして数兆のAIエージェントが光速でシームレスに取引する未来に向けた製品だと説明した。
tether.walletの基盤技術であるWDK(Wallet Development Kit)はオープンソースで公開されており、サードパーティの開発者も同じ技術を使ってウォレットを構築できる。テザーは自社プロダクトの提供にとどまらず、エコシステム全体のインフラとしての展開を図っている。
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