米司法省ニューヨーク南部地区連邦検事局は27日、グーグルのソフトウェアエンジニアであるミケーレ・スパニューロ被告(36歳、イタリア国籍、スイス在住)を、予測市場ポリマーケット上で社内の機密情報を利用して120万ドル(約1.9億円)超の利益を得た疑いで訴追したと発表した。商品詐欺、電信詐欺、マネーロンダリングの3つの罪で起訴されている。
「Google Confidential」の赤い警告を無視
訴状によると、スパニューロ被告はグーグルで12年以上勤務するセキュリティエンジニアで、社内データシステムへのアクセス権限を持っていた。同被告がアクセスした内部ツールには「Google Confidential」と赤字で表示されており、守秘義務や倫理規定への同意も署名済みだった。
被告は2024年5月にポリマーケット上に「AlphaRaccoon」というアカウントを開設。2025年10月15日から12月4日にかけて、グーグルの年末恒例マーケティング企画「Year in Search(今年最も検索された人物)」に関連する市場に約275万ドルを投じた。
当時、ポリマーケット上では歌手のd4vdが1位になる確率は「ほぼゼロ」と評価されていた。しかし被告は社内データで結果を事前に把握しており、d4vdへの賭けで約120万ドルの利益を得たとされる。さらに暗号資産のプライバシー保護サービスを利用して取引の痕跡を隠蔽しようとした疑いもある。
予測市場2件目のインサイダー訴追、業界への影響は
予測市場におけるインサイダー取引の連邦訴追はこれが2件目だ。今年4月には、ベネズエラ大統領拘束に関する軍事作戦の内部情報を使い40万ドル超の利益を得たとして、米陸軍特殊部隊の兵士が訴追されている。
ポリマーケットは「米国でインサイダー取引の訴追につながった協力を行った唯一の予測市場プラットフォームだ」と声明を出した。暗号資産を使った取引は「透明性があり追跡可能で、不正行為者は痕跡を残す」とも述べている。グーグル側も「社内のマーケティング資料に全社員がアクセスできるツールでアクセスしたが、機密情報を賭けに使うことはポリシーの重大な違反だ」として、被告を休職処分にしたと発表した。
予測市場の拡大に伴い、内部情報を利用した不正取引のリスクも浮き彫りになっている。スペインやインドネシアでは賭博規制の観点からポリマーケットへのアクセス遮断が進む一方、米国では予測市場自体の合法性は認めつつ、インサイダー取引には厳格に対処する方針が鮮明になりつつある。
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