ロシア中央銀行は18日、銀行が暗号資産(仮想通貨)に持つリスクを自己資本の1%までに制限する規制案を公表した。規制影響評価に付すための公表で、対象は暗号資産と外国のデジタル商品を用いた取引だ。ロシアでは9月1日に暗号資産の取り扱いを定めた法律が施行されたばかりで、市場を制度の内側に取り込む動きと、銀行を遠ざける動きが同時に進んでいる。
新基準Н31とН32、上限は1%
導入されるのは2つの基準だ。単体の信用機関に適用するН31と、銀行グループの連結ベースに適用するН32で、いずれも上限は1%となる。
算定に含まれるのは直接の保有だけではない。支払いが暗号資産の価格に連動する金融商品への投資も対象になる。
一方で、緩和の余地も設けられた。凍結されるリスクが低く、物理的な流動性がある資産については、ロング(買い持ち)とショート(売り持ち)の反対方向のポジションを相殺できる。また、銀行が制裁リスクの発現について責任を負わない顧客のポジションは、算定に含まれない。
正式な公表は2026年第4四半期を見込んでおり、公表から10日を経過した日に効力が生じる。2027年1月からは、これらの取引の取引高とН31・Н32の数値が報告に反映される予定だ。詳細な報告様式は現在検討中とされている。
施行済みの法律と2027年7月の期限
背景には、9月1日に施行された法律がある。7月に下院が第2読会と第3読会で一括可決したもので、暗号資産の取り扱いを包括的に定めた。
非適格投資家も仲介業者を通じて売買できる。テストに合格したうえで、流動性の高い銘柄に限り、1社あたり年間30万ルーブルが上限となる。適格投資家もテストは必要だが、銘柄と金額の制限はない。外国のステーブルコインには暗号資産と同じ要件が適用される。
規制された基盤として、暗号資産交換業者とデジタル預託機関が新たに加わる。国内での支払い手段としての利用は引き続き禁止される一方、輸出入業者は国境をまたぐ決済に制限なく使える。
市場参加者には2027年7月1日までの移行期間が設けられ、その間にライセンスを取得して新しい要件に適合させる必要がある。
中央銀行の金融モニタリング・通貨管理局長ボグダン・シャブリャ氏は23日、サンクトペテルブルクで開かれた国際銀行フォーラムで、この法律の運用により非合法な暗号資産交換業者の問題も解消されると期待を示した。
2027年7月1日以降は、グレーゾーンが一続きに存在する状態ではなくなり、市場が「白」と「黒」に明確に分かれて相応の処罰が科されるとの見方を語っている。
業態ごとに枠組みを整える
中央銀行は、暗号資産を扱う業態ごとに、順次ルールを固めている段階にある。
8月14日には、暗号資産を金融仲介業者の健全性規制の算定対象に加える指示の草案を公表した。ブローカーや証券管理業者、フォレックス・ディーラーに加え、暗号資産の交換業者も対象となる内容だ。
この草案では、自己資本の額を算定する際に計上できるのは、ロシアの取引所運営者による組織的取引に認められた銘柄に限られ、計上額は算入対象資産の総額の25%が上限とされた。
今回の銀行向けの規制案は、その流れに続くものになる。仲介業者には一定の算入を認める一方、預金を扱う銀行にはより厳しい枠をはめる構図だ。


