暗号資産ウォレットや取引所を展開するBlockchain.com(ブロックチェーン・ドットコム)と、世界最大の証券取引所であるニューヨーク証券取引所(NYSE)グループは23日、戦略的提携を発表した。世界中の投資家が、米国株式やETFの「トークン化証券」を24時間365日取引できる環境の構築を共同で模索する。
時間や場所に関係なく米国株を買えるように
今回の提携の主眼は、証券口座の有無や居住地、市場の取引時間といった既存の制約を取り払い、世界中の暗号資産投資家へNYSE上場銘柄の取引機会を開放することだ。
こうした制約を解消する手段が、証券のトークン化だ。少額からの小口所有や24時間365日の常時取引に加え、地理的制約のないグローバルなアクセス、ブロックチェーン上での透明な決済が可能になる。両社はこうした利点を生かし、新たな投資環境の構築を目指す。
背景には、資本市場が今後トークン化へシフトしていくという両社の戦略的な見立てがある。実際、米金融大手シティの調査部門も2030年までに同市場が5.5兆ドル規模に達すると予測しており、米SEC(証券取引委員会)が革新を後押しする規制の道筋を発表したことも追い風となっている。
ブロックチェーン・ドットコムのピーター・スミスCEOは、「トークン化株式は現代金融において最も影響力のある進歩の一つだ」と強調。NYSEのデジタル代替取引システム(ATS)との接続によって、数千万人にのぼる自社ユーザーへ投資機会を広げることが可能になるとの見方を示した。
双方向のデータ連携で市場分析を高度化
24時間取引の構築と並行して、プラットフォーム間での双方向なデータ連携も進められる。NYSEの関連会社ICEデータ・サービスは、既存の契約顧客に向けてブロックチェーン・ドットコムの暗号資産市場データや分析結果を配信し、株式や債券などの既存の金融市場をメインとする投資家に向けて、暗号資産の動向をより明確に把握できるようにする計画だ。
一方、ブロックチェーン・ドットコム側はICEおよびNYSEのリアルタイム株式データを自社アプリに導入する。これにより、4,400万を超える本人確認済みアカウントが、より高度な市場情報を得られるようになる。このデータはまず、同社の暗号資産に特化したAIアシスタント「June」を通じて提供される。
ブロックチェーン・ドットコムは今年初めにもOndo Finance(オンド・ファイナンス)と提携し、欧州顧客へ米国株のトークン化取引の提供を開始している。同社は、今回のNYSEとの合意は、暗号資産と伝統的金融が別々のレーンで機能する状態を終わらせ、万人に開かれた投資環境を築くための重要なステップと位置づけている。
NYSEのような巨大取引所がトークン化領域に本格参入することは、機関投資家の暗号資産市場への資金流入を加速させる契機となる。SECの規制整備と相まって、コンプライアンスを重視する大口投資家が安心して暗号資産をポートフォリオに組み込めるインフラが整いつつあると言える。
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