米アップルは8月下旬、決済サービス「Apple Pay」の金融商品戦略を担う「Apple Pay Financial Product Strategy Lead」の求人を公式採用サイトに掲載した。歓迎要件には、ステーブルコイン、トークン化預金、ブロックチェーン技術の理解が含まれている。米グーグルも香港でWeb3分野の設計職を募集しており、同様の知識を歓迎要件に挙げている。両社の求人は、韓国の暗号資産(仮想通貨)メディア、デジタルアセットが9月21日に最初に報じた。
歓迎要件にステーブルコインとトークン化預金
アップルが募集しているのは、Apple Payに連なる金融サービスの中長期戦略を描く職種だ。Apple CardやApple Cashの製品チームと組み、新たな成長領域を見極めて事業戦略の実行を後押しする役割を担う。
必須要件は、決済業界での財務モデルや事業計画の構築経験、戦略上の問いを実行可能な枠組みに整理する力、経営層に向けた説明力などだ。いずれも金融戦略職としては一般的な内容といえる。
目を引くのは歓迎要件である。P2P決済やクレジットカード分野での2年以上の経験、米国外の主要な決済システムの理解に並んで、ステーブルコイン、トークン化預金、ブロックチェーン技術の理解が挙げられた。
トークン化預金は、銀行預金そのものをブロックチェーン上のトークンとして表したもので、民間企業が発行するステーブルコインとは発行主体が異なる。両方を併記している点からは、特定の方式に絞らず、ブロックチェーン上の資金移動を広く検討対象にしていることがうかがえる。米国外の決済システムへの理解を求めている点とあわせ、国境をまたぐ送金や決済を視野に入れている可能性もある。
グーグルは機関向けWeb3基盤の設計職
グーグルが香港で募集しているのは「Industry Principal Architect, Web3」だ。グーグルクラウドのアジア太平洋地域におけるWeb3・デジタル資産分野の戦略案件で、技術面の責任者を務める。
想定する顧客は、ブロックチェーンのプロトコル財団、機関投資家向け取引所、デジタル資産のカストディ事業者、実物資産(RWA)をトークン化する金融機関、成長段階の分散型アプリケーションだ。香港金融管理局(HKMA)や証券先物委員会(SFC)の規制に沿って、暗号資産を扱う際のリスク管理やセキュリティ、コンプライアンスの設計を顧客に助言する業務も含まれる。
歓迎要件は幅広い。マルチパーティ計算(MPC)やクラウドHSM、トランザクション署名の設計といった機関向けデジタル資産基盤の経験、GKE上でのノードやバリデーターの大規模運用、ゼロ知識証明やロールアップ、クロスチェーン通信、DePINの経験などが並ぶ。その一つとして、規制下の金融環境におけるRWAトークン化、ステーブルコイン決済網、トークン化預金、カストディ設計の知識が挙げられている。必須要件には、本番環境でのWeb3システムやブロックチェーンプロトコルの構築・運用経験4年以上が含まれる。
アップルが一般消費者向けの決済サービスを起点にしているのに対し、グーグルの求人は金融機関や暗号資産事業者向けの基盤サービスに重心がある。ただし、いずれも求人の段階にとどまり、独自ステーブルコインの発行や具体的なサービスの計画を示すものではない。両社ともこの件について公式な発表は行っていない。
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