イーサリアム共同創設者のヴィタリック・ブテリン氏は23日、上海で開かれた「2026上海ブロックチェーン国際週・第12回ブロックチェーングローバルサミット」でリモート講演し、今後2年のフォークアップグレードでSTARK(スターク)を全面的に採用する方針を示した。
万向ブロックチェーン実験室が主催する同サミットで、当日最初の基調講演者として登壇した。講演の内容は、中国の暗号資産(仮想通貨)メディアPANewsと、講演の全文を公開したTechFlowが伝えている。
ブロック生成12秒を4〜8秒へ
報道によると、ヴィタリック氏はゼロ知識証明を、この10年でブロックチェーンに起きた最大の技術変化と位置づけた。STARKは、計算が正しく行われたことを短い証明で検証できるゼロ知識証明の方式である。
そのうえで、処理速度の見通しを示した。イーサリアムの現在のブロック生成間隔は12秒、最終確定までは約16分かかる。これを将来的に、ブロック生成4〜8秒、最終確定8〜32秒まで短縮できるとした。
ブロックの作り方も変わるとしている。単独の参加者が作るのではなく、16の参加者が共同で組み立て、最後に1つのビルダーがまとめる形だ。取引を送れば確実に取り込まれる、という保証を強めることが狙いだと説明した。
レイヤー1の計算能力については、1,000倍への引き上げを目標に掲げ、すでに実践の段階に入っていると述べた。
AIが形式検証を加速させる
AIとの関係にも触れた。AIは形式検証を加速させており、より複雑な暗号システムでも安全性を担保できるようになるという見方を示した。形式検証は、プログラムが仕様どおりに動くことを数学的に証明する手法だ。
一方でリスクの所在については、AIが暗号技術を破ることそのものより、技術が移り変わる過渡期にあるとした。
講演では、イーサリアムが取るべき方向についても述べている。他より少し速い、少し分散的といった中途半端な道を追うのではなく、際立った成果を出すべきだという趣旨だ。2026年は、中核的な価値を犠牲にしてまで主流化を目指すことは割に合わないと決めた年だとも語った。
この姿勢は1月から一貫している。同氏は今年1月、量子耐性を最優先に据えた長期計画を示し、毎年少なくとも1つの課題を達成すべきだと述べていた。
ヴィタリック氏は前日の9月22日にも、別の会議「ETHShanghai 2026」でリモート講演している。こちらはEIP-8288(再帰的署名と集約)を主題とした内容で、今回の講演とは別のものだ。
STARKの採用には、検証コストという課題が残る。同氏が9月10日に公開したEIP-8288によると、ハッシュベースの署名は約2〜3キロバイトで検証に15万〜20万ガスを要し、STARK証明では数百万ガスに達する。
EIP-8288は、署名や証明を個別にブロックへ載せるのではなく、それらの正しさを示す1つの再帰的なSTARKだけを含める形で、このコストを下げる提案である。
関連銘柄:
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