実業家の元「青汁王子」こと三崎優太氏は18日に公開した自身のユーチューブ動画で、東証スタンダード上場のエスクリプトエナジー(旧エス・サイエンス、5721)のアドバイザーを同日付で辞任したと明かした。会社側に臨時株主総会の開催を要請してきた従来の方針を改め、株主を自ら募って会社法上の招集請求を行う方針を示している。
アドバイザーを辞任し、株主側に回る
三崎氏が社長就任を公に求めたのは6月24日のX(旧Twitter)だった。株主の不満に理解を示しつつ、自分が社長なら業績を上げられると訴えた投稿で、同社株はその日の一時50円から68円まで買い戻されている。
その後の株主総会でも就任を直訴し、役員報酬0円で引き受けると表明した。臨時株主総会の開催を会社に求めたのも同じ6月のことだ。
7月の時点では、就任が実現する場合は最短で9月頃になるとの見通しが示されていた。株主数が6万〜7万人規模に上り、株主確定の手続きに時間がかかるという理由だった。その9月に入っても、会社側は招集に動いていない。
三崎氏は動画で、同社ウェブサイトから自身の写真と氏名に加え、公認会計士の能勢元氏の氏名も削除されたと述べている。招集されない理由については「未だに分かりません」とし、このまま待っても状況は変わらないと判断したと説明した。
辞任の理由は、立場の転換にある。これから臨時株主総会を開いて会社側と対峙する立場になるため、アドバイザーの役目は辞任したと語った。
三崎氏自身は議決権を持たない
株主を集めなければならないのには理由がある。
動画に同席した能勢氏は、同社のアドバイザーを務める公認会計士で、三崎氏が同社に関わる入口を作った人物でもある。三崎氏は能勢氏の関与を機に同社株を購入し、その後アドバイザー就任を受諾した経緯がある。
三崎氏はかつて同社の主要株主だったが、インサイダー取引の疑念を避けるため、2025年7月までに保有株をすべて売却している。その後6億円分の新株予約権を引き受けており、現在の立場は潜在株主にあたる。株式を持たない以上、議決権もない。
会社法上、臨時株主総会の招集を請求するには、総株主の議決権の3%以上を6ヶ月前から引き続き保有している必要がある。三崎氏はこの要件を自力では満たせず、実際に株を持つ株主の協力が不可欠になる。能勢氏は、要件は1人で満たす必要はなく、複数の株主が合算して3%に達すれば請求できると説明した。
三崎氏側は、撮影時点の発行済株式数を1億7,500万株とした上で、約520万株の確保を当面の目標に掲げた。取りまとめは、7月に株主向けの自主アンケートを実施した匿名アカウント「スーパーサラリーマン」氏が担う。6ヶ月以上の保有者から応募フォームで氏名や連絡先を集め、証券会社の個別株主通知で保有を確認する手順を想定している。
| 段階 | 想定時期 |
|---|---|
| 株主の募集・集約 | 9月いっぱい |
| 個別株主通知の取得・確認 | 約1週間 |
| 会社への招集請求 | 10月中 |
| 臨時株主総会の開催 | 12月〜2027年1月 |
動画内で示された想定スケジュール。会社が請求に応じた場合の日程であり、応じない場合の手続きについては言及がなかった
可決しても社長就任は確約されない
仮に総会が開かれ、議案が可決されたとしても、それで社長が決まるわけではない。
動画では能勢氏が、株主総会で決議できるのは取締役の選任であり、代表取締役を誰にするかは取締役会の判断になると説明した。これに対し三崎氏は「代表取締役にするかどうかではないんですか」「社長にはなれないってことですか」と確認し、株主の判断ではないと重ねて答えを受けている。
この構造自体は新しい情報ではない。7月13日の配信でも能勢氏から同じ説明を受けており、三崎氏は2ヶ月前から同じ条件を認識していたことになる。
対策として、能勢氏は三崎氏以外の候補者も議案に含める選択肢があると述べた。三崎氏も、経営に参加する場合は自身1人では足りないとして、一定数の役員を送り込む意向を示している。取締役会の構成そのものを動かす狙いがある。
三崎氏は、今回の請求が実らなかった場合は次の定時株主総会を待つことになり、実現の可能性は薄くなると自ら述べた。「ダメだったら本当に申し訳ない」とも語っている。
7月の要望書に回答なし
スーパーサラリーマン氏によると、7月2日から3日間実施したアンケートには1,391名が回答し、回答者の保有株数は合計2,900万株にのぼった。撮影時点の発行済株式数に対して約16.6%にあたる規模だが、同氏は本人確認を一切取っていない自主アンケートであると明言している。
| 設問 | 回答 |
|---|---|
| 臨時株主総会の開催を希望するか | 希望する 94.2% |
| 三崎氏を取締役・社長候補として検討することに | 賛成 97.5% |
| 今後、株主として会社に変革を望むか | 強く望む 97.3% |
スーパーサラリーマン氏が実施した自主アンケートの結果。本人確認は行われていない
同氏はこの結果を7月6日付で会社に正式に提出し、7月31日を期限として回答を求めたが、現在まで返答はないとしている。会社側はこれらの経緯について見解を公表していない。
背景にある株価低迷とビットコインの含み損

一連の動きの背景には、同社株の低迷がある。6月の投稿後に買い戻しが入った後も株価は戻らず、直近は54円、時価総額は約95.7億円にとどまる。
JinaCoinの集計によると、同社のビットコイン(BTC)保有量は296.24 BTC。平均取得単価は約1,687.8万円で、9月19日時点の評価額は約37.7億円、含み損は約12億円(マイナス24.6%)にあたる。国内上場企業では5位で、mNAV(NAV倍率)は2.54倍となっている。
買い増しは止まっている。購入履歴は2025年8月26日から10月2日までの3回で、総額50億円。それ以降の取得はない。同社は中期目標として1,000 BTC
BTCの取得を掲げており、達成率は3割に届いていない。三崎氏は2025年4月にクリプトアセット事業開発担当室長として、このビットコイン戦略を主導した立場にある。
三崎氏は経営に参加した場合の方針として、自身が経営する三崎未来ホールディングス株式会社で進めてきたAI活用を同社にも導入し、電力事業を固めた上で新規事業を立ち上げたいと述べた。役員報酬は0円でよいとの姿勢を改めて示している。
同氏の説明によると、三崎未来ホールディングスは2021年5月15日の設立で、1期目の売上高は約2億5,000万円、2期目は65億円を超え、当期は100億円近くを見込む。来期の営業利益は最低でも30億円以上になるとの見通しも語った。いずれも非上場企業に関する本人の説明であり、外部から確認できる数値ではない。
株価を直接動かせるのは経営陣だけであり、自身は経営陣ではないため影響力を持てない、というのが三崎氏の主張である。
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