暗号資産取引所Backpack(バックパック)の創業者兼CEOアルマーニ・フェランテ氏は26日、レイヤー1ブロックチェーンソラナ上に、米国の全株式をトークン化して展開する巨大な構想を明らかにした。既存の証券口座と分散型金融(DeFi)をつなぎ、実際の株式と1対1で交換・償還できるトークンを相互に移動できる環境を目指す。
目標は1万銘柄、証券口座とDeFiをつなぐ
フェランテ氏はインタビューで、「我々が目指しているのは10銘柄や100銘柄ではない。株式市場全体をソラナへ持ち込みたい」と述べた。現在、複数のブロックチェーンを合わせても、オンチェーン上で扱われる株式関連銘柄は100〜200程度だという。同氏は、これを1万銘柄規模まで広げることが「次の大きな飛躍になる」としている。
その構想の中核にあるのが、既存の証券口座とDeFiの間で株式を行き来できる仕組みである。フェランテ氏は、一つのAPIを通じて、どの定義に照らしても本物といえる株式を、証券口座とDeFiの間で行き来させたいとしている。
証券口座とDeFiの間で株式を行き来させるには、オンチェーン上のトークンを実際の株式と確実に交換できる仕組みが欠かせない。そこでバックパックは、自ら証券会社として株式に対する権利を保有し、その裏付けに基づいてトークンの発行・償還まで担う体制を整えている。
この仕組みの特徴は、実際の株式への交換・償還を広く利用できるようにする点にある。例えば、USDCやUSDTも裏付け資産と交換できるが、発行元に直接持ち込んで現金化するには口座や参加資格が必要となり、一般利用者にはハードルが高い。一方、バックパックのトークン化株式は、実際の株式と1対1で交換・償還できる仕組みを広く利用できるようにすることで、証券口座とオンチェーンの間を行き来しやすくする。
1万銘柄を支える鍵は既存市場の流動性
ただし、1万銘柄規模まで広げるには、売買を成立させるための十分な流動性を確保する必要がある。主要100銘柄程度であれば、流動性プールやAMM、板取引などをオンチェーン上に構築できる可能性があるが、幅広い銘柄まで同じ方式を広げるには巨額の資金が必要になる。
そこでバックパックが想定しているのが、既存の株式市場の流動性をオンチェーンへ橋渡しする方法である。新たな市場を一から作るのではなく、従来の株式市場ですでに存在する売買の厚みを利用し、オンチェーン上の取引につなげる考えだ。
具体的には、仲介者がNBBO(全米最良気配)と呼ばれる市場で最も有利な売買価格を基準に株式を調達し、その価格をオンチェーン上でも提示する。これにより、取引量の少ない銘柄についても、既存の株式市場の流動性を活用できるようにする。
フェランテ氏は、まず個人投資家向けの取引環境を整えることが第一段階になるとしている。ソラナ上のセルフカストディ型ウォレットから幅広い株式にアクセスし、ロビンフッドやフィデリティなどの証券サービスと同等の価格執行や流動性を提供できる環境を目指す考えだ。同氏は、こうした構想を「今年、最も期待していることの一つ」と位置付けている。
ソラナは決済やミームコインでの利用が目立ってきたが、幅広い株式のトークン化基盤になれば、金融インフラとしての位置付けが大きく変わる可能性がある。伝統的な株式市場の資金を呼び込む窓口となれば、DeFiを含むソラナ経済圏全体の流動性を押し上げる要因となる。
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