合成ドル型ステーブルコイン「USDe」を発行するEthena(エセナ)は25日、Binance(バイナンス)と提携し、USDeの裏付け資産の運用を株式の無期限先物に広げると発表した。バイナンスのトークン化株式「bStocks」を現物として持ち、同社の株式無期限先物を売って価格変動を打ち消す。配分は同日から始めた。
暗号資産で行ってきたベーシス取引を株式に
エセナはこれまで、暗号資産(仮想通貨)の現物を持ちながら無期限先物を売り、レバレッジをかけた買い手が払う資金調達率を受け取る「ベーシス取引」で利回りを生んできた。今回はこの仕組みを株式に当てはめる「株式ベーシス」で、先物にはバイナンスのUSDT建て株式無期限先物を使う。
同社によると、バイナンスの株式ベーシスは過去6カ月の平均で年率約11%を超え、建玉は直近3カ月で月平均約30%増えた。バイナンスは、エセナを含む条件を満たしたデルタニュートラルの口座について、自動デレバレッジ(ADL)の順位を低くしているという。
エセナは、裏付けに使える資産の市場が、暗号資産の2.5兆ドル(約393兆円)から実物資産の150兆ドル(約2京3,600兆円)超に広がると説明する。株式の無期限先物の市場機会は、前回のサイクルで暗号資産の無期限先物を通じて得た150億ドル(約2兆3,600億円)超を大きく上回るとの見通しも示した。
リスク審査は収益の低下と発行体リスクを指摘
今回の配分は、リスク委員会の審査と、エセナ自身の法務・リスク面の調査を経たものだ。委員会向けにカイロス・リサーチがまとめたリポートは、8月26日時点のデータをもとに、次の5つの条件をすべて満たす銘柄を承認する基準を示した。
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| 無期限先物の建玉(片側、14日平均) | 2,500万ドル(約39億円)以上 |
| 資金調達率の履歴 | 30日以上 |
| 原資産 | 上場している有価証券 |
| 商品の種類 | レバレッジ型・インバース型ETFを除く |
| 現物 | 同じ取引所に、対応するトークン化株式がある |
この基準で承認されたのは、バイナンスの67組のうち17銘柄だ。エヌビディア、テスラ、アップル、アルファベット、メタ、サークル、ストラテジー、SPY、QQQなどが含まれる。OKXは3銘柄で、バイビットとクラーケンはなかった。
リポートは、決算発表や週末をまたいでもヘッジは機能したとする一方で、収益の低下を指摘した。バイナンスの承認銘柄の平均は、7月下旬の年率約18%から8月26日時点で約7%に下がり、2銘柄はマイナスだった。
bStocksについては、保有者が裏付けの株式に対する所有権を持たないため、発行体であるバイナンスの関連会社に対する無担保の信用リスクになると記した。すべてのbStocksが、マルチシグもタイムロックもない一つの鍵で更新できる状態にあることも挙げている。
株式市場が閉まっている時間帯に、先物の清算の基準となる価格が取引所の薄い板から作られる点は、「最も深い構造的リスク」と位置づけた。
リポートは、保管会社の確定、グループ外の第三者による在庫の照合、配当の扱いの文書化などを盛り込んだ補足の合意書を結ぶことを、bStocksを承認する条件とした。合意書が結ばれたかどうかは、今回の発表では示されていない。

日本時間26日0時32分に確認したエセナのダッシュボードでは、裏付け資産の内訳に「株式ベーシス」の項目が加わっていたが、金額は表示されていなかった。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=157.34円)



