世界最大の予測市場プラットフォームPolymarket(ポリマーケット)は4月30日、ブロックチェーン分析企業Chainalysis(チェイナリシス)と提携し、予測市場としては初となるオンチェーン市場監視ソリューションを導入すると発表した。インサイダー取引や市場操作の検出・取り締まりを強化し、規制当局や法執行機関との連携基盤を整える。
ブロックチェーンの透明性を「監視の武器」に転換
ポリマーケットはすべての取引がパブリックブロックチェーン上に記録されるDeFiプラットフォームだ。今回の提携では、この透明性を監視インフラとして本格活用する。チェイナリシスのデータ分析基盤を用いて、インサイダー情報に基づく取引パターンを検出する専用の異常検知モデルを構築する。
提携の範囲はチェイナリシスの複数の製品ラインにまたがる。ブロックチェーン上の証拠を用いた捜査支援ツール、オンチェーンのセキュリティ機能、さらに検出モデルの開発やチームの訓練を含むプロフェッショナルサービスも提供される。不審な取引を発見した場合は、ブロックチェーン上の検証可能な証拠とともに法執行機関や規制当局に報告できる体制を整える。
ポリマーケットの創業者兼CEOシェイン・コプラン氏は「ポリマーケットはオンチェーンで構築した。すべての取引がオープンで追跡可能で、設計上説明責任を果たせるからだ」と述べた。チェイナリシスの共同創業者兼CEOジョナサン・レヴィン氏も「ブロックチェーンベースの市場は、従来の市場では実現できないレベルの透明性を提供する」とコメントしている。
米軍兵士のインサイダー事件が導入の引き金に
今回の監視強化の背景には、ポリマーケット上でのインサイダー取引が刑事事件に発展した直近の事例がある。米司法省は、現役の米陸軍兵士ギャノン・ケン・バンダイク被告が、ベネズエラのマドゥロ大統領に関する軍事作戦の機密情報を利用してポリマーケット上で13件の取引を行い、約40万ドルの利益を得たとして起訴した。同被告は全件について無罪を主張している。
ポリマーケットには既存の監視システムが存在していたが、今回のチェイナリシスとの提携により、検出能力を大幅に強化する。検出モデルは新たな取引パターンやデータに基づいて継続的に更新される設計となっている。
なお、ポリマーケットは2022年にCFTC(米商品先物取引委員会)と140万ドルの和解金を支払って以降、米国内での規制対応を進めてきた。2025年にはCFTC認可のデリバティブ取引所QCXの親会社QCEXを1億1,200万ドルで買収しており、現在もCFTCとの協議を続けている。週間取引量は2026年に入ってから10億ドル前後を維持しており、150億ドルの評価額での4億ドルの資金調達を進めているとも報じられている。
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