インドの中央銀行であるインド準備銀行(RBI)が暗号資産の禁止に傾く政策を支持し、税務当局も海外取引所を経由した脱税リスクに警鐘を鳴らしていることが、政府の内部文書で明らかになった。8日、ロイター通信が報じた。
中銀が抱く金融システムへの波及リスク
RBIはこれまでも暗号資産のリスクを警告してきたが、改めて「禁止に傾斜する」政策を支持する姿勢だ。内部文書によると、金融システムへの波及リスクを抑えるため、銀行などの金融機関が暗号資産やステーブルコインを保有・取引することを禁じるべきだと主張している。
ステーブルコインに対してもRBIは強い警戒感を示す。外貨裏付けのトークンは国家主権への脅威となり、ルピー裏付けの場合でも政府の通貨発行益を減少させるという。また、市場のストレス時には金融安定性にリスクをもたらす可能性があると指摘している。
現在、インドでは暗号資産に関する明確な規制が定まっていない。しかし、税務当局の推計によれば、5月末時点でインド国内には約3,900万人の暗号資産トレーダーが存在し、約21億ドル(約3,402億円)相当のデジタル資産を保有しているのが実態だ。
税務当局が指摘する課税逃れのリスク
税務当局は、所得税の申告において暗号資産の保有状況が正確に報告されていない事例を発見した。2023年3月期に取引を行った約64万5,000人のうち、確定申告で報告したのは4分の1未満だったという。インドでは暗号資産の利益に30%の税が課されている。
海外の暗号資産取引所やプライベートウォレットを経由した取引は、実質的な所有者の特定や税金の徴収を困難にする。さらに、ルピー建ての個人間(P2P)取引によって、課税対象となる所得の追跡がより一層難しくなっていると当局は懸念を示した。
また、暗号資産の価格変動の大きさや統一された評価基準の欠如も、税務上の評価を複雑にしていると警告する。こうした状況を受け、現在はインドの企業省が暗号資産に関する会計基準やその他のガイドラインについて検討を進めていることも判明した。
インドでは暗号資産に明確な規制がなく、RBIと税務当局が示した懸念が、今後の制度設計にどう反映されるかが焦点となる。企業省による会計基準の検討も進んでおり、規制の方向性が定まるかが問われる。
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