SBI証券は8日、大和証券などとともに、国内で発行・管理されるセキュリティトークン(ST、デジタル証券)の将来的なクロスボーダー流通を見据えた実証プロジェクトの成果を公表した。海外証券会社との業者間取引に限り、パブリックブロックチェーンのイーサリアム
ETHを活用する構成だ。
決済にはステーブルコイン「USDC
USDC」を用いる。参加したのは、SBI証券と大和証券に加え、シンガポールのSBIデジタルマーケッツとペンギン・セキュリティーズ、STの基盤を手がけるブーストリー(BOOSTRY)の計5社だ。
国内はコンソーシアム基盤、越境時のみパブリックチェーンに連携

国内投資家向けのST管理は、従来どおりブーストリーが運営するコンソーシアム型基盤「ibet for Fin」上で続ける。独占的な組織を持たない、国内向けのブロックチェーン基盤だ。
変わるのは、海外との取引の場面だけだ。海外証券会社との業者間取引の時に限り、対象のSTをパブリックチェーンのイーサリアムに「ミラー連携」させ、そのうえでUSDCを用いたDvP決済を可能にする。二重の基盤を使い分ける構成である。
DvP(Delivery Versus Payment)決済は、証券の引き渡しと代金の支払いを同時に行う方式だ。一方だけが先に移転することで生じる決済リスクを抑えられる。
5社によると、この構成なら国内での権利の安定性を保ちつつ、パブリックチェーンの相互運用性やグローバルな接続性を活かせる。新たな決済・移転インフラの可能性を確認したとしている。
自主規制機関とも議論、実務論点を整理
実証では、システム・法務・業務の各面を検証した。金融機関がパブリックチェーンを使ううえでの論点として、ガス代(手数料)の扱いや秘密鍵の管理といった実務課題も整理された。関係当局や自主規制機関とも議論を重ねたという。
5社は、今後の制度・市場整備に向けた重要な知見を得たとしている。
今後は、社債型STの制度上の課題や、不動産STなど他の資産への展開も含めて検討を続ける。原簿管理や権利移転のあり方、ステーブルコイン決済実務の高度化なども、市場拡大に向けた継続議論のテーマに挙げた。
なお、今回はあくまで実証段階だ。商用化や実運用が決まったわけではない。



