欧州中央銀行(ECB)がユーロ建てステーブルコイン市場の拡大を後押しする提案に対し、金融システムへの影響を懸念して反対する姿勢を示したことが明らかになった。23日、ロイターが詳しい関係者筋の話として報じている。
ドル依存防止か金融安定か、欧州で政策論争が浮上
今回議論されたのは、欧州の経済シンクタンクであるブリューゲルがまとめた政策提言だ。ブリューゲルは、ユーロ建てステーブルコイン市場の育成を目的として、規制の一部見直しや発行環境の改善を提案した。
提言の背景には、ステーブルコイン市場でドル建てが圧倒的な存在感を持つ現状がある。ブリューゲルは、EUの厳格な制度設計が利用需要を域外へ押し出し、ドル建てステーブルコインへの依存を強める「デジタルドル化」を招く恐れがあると指摘している。
具体的な提言内容としては、暗号資産市場規制(MiCA)の見直しに加え、ステーブルコイン発行体に課される流動性要件の緩和や発行体にECB資金へのアクセスを認める案などが盛り込まれている。
対して、ECB側はこうした方向性に強い警戒感を示した。ロイターによると、クリスティーヌ・ラガルド総裁を含む中央銀行関係者は、ステーブルコインの普及によって銀行預金が不安定化する可能性を懸念しているという。
ステーブルコインは利用者資金が発行体側へ移る構造のため、規模が拡大すると銀行の資金調達基盤が弱まり、融資能力の低下につながる可能性がある。ECBはこうした変化が中央銀行による金利コントロールにも影響を及ぼしかねないとみている。
ラガルド総裁は今月初めにも、ユーロ建てステーブルコインに懐疑的な見方を示しており、代替案として商業銀行預金をデジタル化した「トークン化預金」を支持する立場を示している。
一方、市場規模ではユーロ建てステーブルコインは依然として限定的な存在となっている。ブリューゲルが引用したデータによれば、ステーブルコイン全体の供給量は約3,000億ドル(約47兆円)規模まで拡大しているものの、ユーロ建ては依然として全体の0.3%にとどまっているという。
今回の議論は、単なる制度見直しだけの話にとどまらない。ドル主導で進むデジタル金融に対して欧州がどのような立場を取るかを巡る重要な議論として、今後とも注目を集めそうだ。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=158.8円)



