米金融大手モルガン・スタンレー・ウェルス・マネジメントは5日、暗号資産(仮想通貨)金融会社のギャラクシー・デジタルとの提携を発表した。これにより、顧客は手持ちの暗号資産を売却せずに貸し出すことで、暗号資産の「現物ETP(上場取引型金融商品)」の証券を受け取れるようになる。
暗号資産を手放すことなく貸し出してETP証券を受け取る
本サービスは、一定の要件を満たした適格顧客向けに提供される。顧客はビットコインやイーサリアム、ソラナといった特定の暗号資産をギャラクシーに貸し出し、その対価として「モルガン・スタンレー・ビットコイン・トラスト」などの現物暗号資産ETPの証券を受け取る。
手続きとしては、まずモルガン・スタンレーが顧客にデジタル資産の教育リソースを提供し、ギャラクシーへ紹介する。その後、ギャラクシーがETP証券での決済が可能と判断すれば、指定参加者(AP)と連携して現物設定を行い、指定口座へ証券を引き渡す。
この仕組みは、暗号資産をETP証券の形で保有したい顧客に向けて設計されている。貸し出しによってETP証券を得ることで、伝統的なポートフォリオへの組み入れが容易となり、証拠金取引やレンディングといった既存の金融機能との連携がスムーズになる。
手続きの大幅短縮と取引ハードルの低下
これまで、こうした取引を開始するためのオンボーディング(審査や手続き)には4週間以上の期間を要することがあった。しかし、今回の新たな紹介機能を活用することで、この待機期間を最大で75%ほど短縮し、関連コストも削減できる見込みだ。
また、取引開始のハードルが引き下げられた点も特徴だ。ギャラクシーは、モルガン・スタンレー経由の顧客に限り、貸出の最低取引額を従来の2,500万ドルから500万ドルへと大幅に減額する。これにより、アクセスできる適格投資家の裾野が広がることになる。
モルガン・スタンレーのアリソン・ネスト氏は、本件について「伝統的金融と分散型金融(DeFi)の橋渡しとして意義がある」と強調した。ギャラクシーのゼイン・グラウバー氏も、要件緩和が「包括的なウェルスマネジメントを後押しする」と語っている。
本提携は、富裕層や機関投資家が保有する暗号資産を、伝統的なポートフォリオへ組み込む動きを後押しするものだ。現物の売却を伴わないため税務面での影響を抑えられる可能性もあり、今後は他の大手金融機関が同様のスキームを導入し、業界全体へ広がることも考えられる。
関連:モルガン・スタンレー、ビットコイン現物ETF取引開始──米大手銀初
関連:ETFトークン化はファンド業界を変える?実用化は数年先=JPモルガン



