英国のレイチェル・リーブス財務相は14日夜、ロンドン金融街で開かれたマンションハウス演説で、2027年初までに英国がG7で初めてデジタル・ソブリン・ボンド(デジタル国債)を発行する見込みだと表明した。初回の発行後も、継続的な発行を計画しているという。
DIGITはデジタルネイティブの短期国債
対象となるのは、分散型台帳技術(DLT)を用いた「デジタル・ギルト・インスツルメント(DIGIT)」と呼ばれる国債だ。英財務省は2026年2月12日、パイロット発行の基盤提供者としてHSBCを選定したと発表している。2025年10月に入札を公告し、公表された評価基準に基づく競争入札で決めた。
設計上の特徴として財務省が挙げるのは、デジタルネイティブであること、短期債であること、デジタル証券サンドボックス(DSS)内で稼働する基盤で発行されること、オンチェーンで決済されること、そして政府の主要な債務管理プログラムからは独立していることの5点だ。
HSBCのパトリック・ジョージ氏(マーケッツ・証券サービス部門グローバル責任者)は、財務省が同行のデジタル資産プラットフォーム「オリオン(HSBC Orion)」をDIGITのパイロット発行に選んだことを歓迎するとコメントしている。法務面ではアシャースト(Ashurst LLP)が起用された。
パイロットの狙いは、DLTを英国の国債発行プロセスにどう適用できるかを政府が探ることと、英国を基盤とするDLTインフラの発展と金融市場でのDLT普及を促すことにある。財務省は、政府の卸売金融市場デジタル戦略の柱の一つと位置づける。
一方、発行規模やクーポンといった具体的な条件は、これまでの政府発表では示されていない。
イングランド銀行、担保適格化へ財務省と協力
同じ夕食会で講演したイングランド銀行のアンドリュー・ベイリー総裁は、デジタル証券サンドボックスでトークン化資産の発行を支援していると説明したうえで、最初のDSS参加者が前日にライブ活動の承認を受けたことを明らかにした。この動きがDIGITの発行を後押しするという。
そのうえでベイリー氏は、DIGITをイングランド銀行の市場オペレーションにおける担保として適格化できるよう、財務省と取り組むと述べた。
トークン化預金とステーブルコインも進行
両者の演説では、デジタル資産分野の他の取り組みにも言及があった。リーブス氏は、英国が世界で最良の部類に入るステーブルコイン制度を持つと述べ、トークン化預金の取り組み「Great British Tokenised Deposit」がパイロット取引の段階に移ったと報告した。
ベイリー氏も、銀行預金をトークン化し、デジタルのトークン化台帳上で資金をやり取りできるようにする「トークン化マネー」の設計と導入を、銀行と進めていると説明した。プログラム可能な決済を可能にする狙いがある。
ステーブルコインについては、暗号資産(仮想通貨)の世界を越えた決済手段として成立させるため、システミックなポンド建てステーブルコインに関する規則案を最近公表したと述べている。
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