ジンバブエ政府は12日、暗号資産(仮想通貨)事業者に対する初の専用規制を導入した。ロイターなどが報じた。財務相ムトゥリ・ンクベが官報に公布した法定文書「Statutory Instrument 99 of 2026(S.I. 99 of 2026)」に基づくもので、暗号資産を扱う事業者は金融情報ユニット(FIU)への年次登録が義務づけられる。
事業者にFIU登録を義務化、年500ドルの登録料
新規制の対象は、暗号資産の売買・移転・交換・保管などを手がける事業者(VASP)だ。これらの事業者は、ジンバブエ準備銀行(RBZ)内に置かれたマネーロンダリング対策機関であるFIUに、毎年登録しなければならない。登録なしでの営業は刑事罰の対象となる。
年間の登録料は500ドル(約8万円)に設定された。
登録要件は商業銀行に近い水準だ。事業者は国内に法的に登録された子会社を設立する必要があり、取締役は経歴審査(バックグラウンドチェック)を受けなければならない。さらに、送金時に送り手と受け手の情報を収集・共有するFATF(金融活動作業部会)の「トラベルルール」の実装も求められる。
規制は技術中立的な立場をとり、暗号資産を法定通貨として承認するものではない。あくまで金融犯罪の防止に主眼を置いた枠組みで、FATFのグレーリスト入りを避ける狙いがあるとみられる。
2018年の銀行取引禁止から転換、地下市場の正常化へ
今回の規制は、ジンバブエの暗号資産政策の転換点となる。準備銀行は2018年、金融機関に対し暗号資産関連取引の処理停止を指示していた。これにより取引はピアツーピア(個人間)やSNS、非公式の仲介業者へと移り、法的な枠組みのないまま地下経済として続いてきた。
法的な土台となるのは、マネーロンダリング・犯罪収益法(Chapter 9:24)に2025年財政法が挿入したVASP登録規定だ。既存の事業者は2026年4月30日まで営業を継続できたが、それ以降は登録が必須とされていた。今回のS.I. 99は、この登録に必要な具体的要件を定めたものにあたる。
ジンバブエでは長年の経済不安が暗号資産需要を押し上げてきた。
2000年代後半のハイパーインフレや度重なる通貨切り替えが伝統的な金融システムへの信頼を損ない、ビットコイン(BTC)などが価値の保存手段や海外送金の手段として使われてきた。とりわけ送金(リミッタンス)の役割は大きく、割高な銀行送金を避ける手段として暗号資産が定着している。今回の規制は、こうした実需を踏まえつつ、消費者保護と金融の健全性を両立させる狙いがある。
ジンバブエは、南アフリカやナイジェリア、ケニア、モーリシャスなど、暗号資産規制を相次いで整備するアフリカ諸国の動きに続く形となった。
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