米暗号資産(仮想通貨)運用会社ビットワイズは、四半期レポート「Bitwise Staking Report Q3 2026」を公開した。イーサリアム、ソラナ、ハイパーリキッドなど主要6ネットワークの2026年4〜6月期(Q2)を検証し、市場センチメントとネットワークの実態に乖離が生じていると指摘している。
手数料収入は減少、それでも取引件数は拡大
対象ネットワークではブロックスペースが安価かつ潤沢になり、活動量が増える一方で手数料収入は減少した。ビットワイズは収入減の主因をプロトコル設計に求めている。
イーサリアムのネットワーク収入は前年同期比51%減の約6,400万ドル(約105億円)だったが、取引件数は1億2,110万件から2億390万件へ増えた。バリデータが段階的にブロックのガスリミットを3,000万から6,000万へ引き上げた結果、秒間処理件数は15件から26件へ拡大し、混雑度は上がっていない。
ETH建てで見ると様相は異なる。収入は2026年Q1の27,670 ETHからQ2は31,166 ETHへ増加し、1年以上ぶりのプラス転換となった。ドル建てで減少したのは、四半期を通じてETH価格
ETHが下落したことによるものだと説明している。
アバランチ
AVAXも構図は同じだ。C-Chainの取引件数が前年同期の5,800万件から2億3,560万件へ約4倍に伸びる一方、手数料は約33万ドル(約5,400万円)まで縮小した。
イーサリアムのステーキング残高が過去最高、機関マネーが流入
ステーキング中のETHは2025年Q1末の3,420万枚から2026年Q2末には過去最高の4,020万枚に達し、総供給量の33%を占めた。増加分は2026年上期に集中しており、Q1に期間中最大となる281万枚、Q2にさらに173万枚が積み上がっている。ステーキング量が増えるにつれ、コンセンサス報酬の利回りは緩やかに低下する。
流入の担い手は機関投資家だ。ビットマイン・イマージョンは6月14日時点で562万ETHを保有し、うち472万ETHをステーキングしている。
ブラックロックも3月12日、ステーキング対応のイーサリアム現物ETF「ETHB」をナスダックに上場した。保有分の70〜95%をステーキングし、報酬を毎月投資家に分配する設計だ。
ソラナはバリデータ34%減、ハイパーリキッドは非暗号資産へ拡大
ソラナ
SOLのREV(ユーザーがチェーン利用のために支払った総額)は前年同期の2億7,200万ドルから5,100万ドル(約83億円)へ減少した。ただし投票を除く取引件数は89億件から98億件へ増えている。ビットワイズは、収入減はブロック混雑度の低下によるもので、ブロックスペースが希少でなくなった結果だと分析している。
アクティブなバリデータ数は2025年6月の約1,250から1年後には約830へ、12カ月で34%減少した。投票コストだけで1日あたり約1 SOL、直近価格で年間2万5,000ドル規模がかかり、委任量の少ない運営者の採算が悪化している。
ハイパーリキッド
HYPEのプロトコル収入は1億7,482万ドル(約286億円)と、前年同期からほぼ横ばいだった。
変化したのは中身だ。無期限先物の取引高6,520億ドルのうち、商品・株価指数など非暗号資産の市場が32%にあたる2,120億ドル(約34.7兆円)を占めた。NEAR
NEARでもブリッジ・実行レイヤー「Intents」の総手数料が930万ドル(約15.2億円)となり、ベースチェーンの約68倍に達している。
機関投資家の参入が数値に表れ始めた
レポートは、機関投資家の関与が今四半期に初めて計測可能になったとしている。ソラナ上のトークン化株式の取引高は、2025年6月の134万ドルから1年後には33億2,000万ドル(約5,435億円)へと2,479倍に膨らんだ。背景にはバックパック証券によるスペースXとマイクロンの上場がある。
S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスはハイパーリキッド上での取引向けにS&P500をライセンスし、アバランチではFIFAが専用レイヤー1でワールドカップのチケット流通を稼働させた。
決済分野では、ストライプとパラダイムが立ち上げたTempoで人材プラットフォームのDeelが約3,000万ドル(約49.1億円)を7,200人の契約者に支払った。ビットワイズは、ブロックスペースが安くなったことは需要の後退を示すものではないと結論づけている。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=163.7円)



