世界最大のビットコイン(BTC)投資企業ストラテジー(旧マイクロストラテジー、ナスダック:MSTR)は1日、5月26日から31日にかけて32 BTCを約250万ドル(約3.9億円)で売却したとSECに提出したForm 8-Kで開示した。配当支払いを目的としたBTC売却は同社として初めてで、同社が掲げてきた「絶対に売らない」方針からの転換を象徴する動きとなった。
2022年の税務売却とは性質が異なる
ストラテジーが過去にBTCを売却したのは2022年12月の704 BTC(タックスロスハーベスティング目的)のみだ。当時は税務上の損失計上が目的で、売却後すぐに同量を買い戻しており、実質的なポジション縮小ではなかった。
今回の32 BTCは優先株の配当支払い資金に充てられる。同社は現在5種類の優先株(STRF・STRC・STRE・STRK・STRD)を発行しており、優先株配当と債務利息を合わせた年間の支払い負担は拡大を続けている。USDリザーブ(5月31日時点で9億ドル)でカバーしているが、BTC売却による資金確保も選択肢に加わった形だ。
伏線はQ1決算(5月5日)にあった。セイラー会長は決算発表の場で「配当を払うためにビットコインを売ることになるだろう」と発言し、2022年1月以来繰り返してきた「絶対に売らない」の方針を事実上撤回した。MSTR株は発言後に4.33%下落し、予測市場大手ポリマーケットでは「年内にBTCを売るか」の賭けが成立。ある投資家は確率11%の時点で「売る」に賭け、今回の8-K提出で約20万ドルの利益を得たとされる。
ただし32 BTCは保有量843,706 BTCの0.004%に過ぎず、同期間にMSTR株のATM売却で1億2,830万ドルを調達していることを考えると、BTC売却への依存度は極めて限定的だ。セイラー氏が以前示した「株価プレミアム時はATMでBTC購入、ディスカウント時はBTC売却で自社株買い」という戦略の延長線上にある動きとも読める。それでも、「絶対に売らない」を看板にしてきた企業の初の運営売却は、市場心理に影響を与える可能性がある。
関連:ストラテジーCEO「ビットコイン売却は最終手段」──長期保有戦略を継続へ
関連銘柄:
BTC
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=159.3円)



