5日公開のYouTube番組「ReHacQ」にて、JPYC株式会社の岡部典孝代表取締役と、MCの西田亮介氏、ひろゆき氏による対談動画が公開された。番組では、議論が続いている「サナエトークン」問題の法的課題や、世界に先行する日本のステーブルコイン規制の現状、そしてAIがもたらす金融の未来について議論が交わされた。
高市氏名義のトークン騒動に潜む法的課題を検証
番組では高市早苗氏の名前を冠した「サナエトークン」騒動の課題が整理された。ひろゆき氏は、関係者が関与を否定しても暗号資産(仮想通貨)の性質上「もらっていない証明」が困難だと指摘。分散型取引所では保有者の実態が不透明になりやすい問題点を挙げた。
岡部氏はこの問題に対し、暗号資産を無登録で販売したとすれば、資金決済法違反に問われる可能性が高いとの見解を示した。政治家の許可を得たように装った行為についても、何らかの法的責任が生じる可能性を両者は指摘している。
ひろゆき氏はさらに踏み込み、消費者を誤解させた点については、消費者庁の管轄する領域で違法性を問える可能性が高いと分析した。一方で、最初から騙す目的があったとする「詐欺罪」の立証は一般的に極めて難しく、被害者の救済が法的に困難であるとの見解を示した。
規制の最前線と適法な事業者が直面するジレンマ
話題は、こうした騒動が業界に与える影響にも及んだ。岡部氏は、適法にステーブルコインを発行する真面目な事業者が、不透明なプロジェクトと混同される風評被害のジレンマを指摘した。ひろゆき氏も、ルールを守る側が割を食う現状の不条理さに同意を示した。
一方で、日本の暗号資産やステーブルコインの法規制は、欧米より数年先行する世界最先端の環境だという。しかし、法律や税制が整う反面、許認可の取得や維持には多大なコストと時間がかかる。そのため、国内スタートアップの新規参入は極めて厳しい状態にあると岡部氏は明かした。
AI取引の台頭と投資戦略
動画終盤ではAIが金融市場を席巻する未来像が示された。岡部氏は、人間の代わりにAIが自動取引を行う時代が数年以内に来ると予測。ひろゆき氏も、資産家によるアルゴリズムでのアービトラージ(裁定取引)が普及すると指摘した。これらを支える決済インフラとしてステーブルコインが使われるという。
AIによる取引規模は、現在の法定通貨の10倍から100倍に膨れ上がると岡部氏は語る。株や不動産もステーブルコインで取引されるようになるという。このAI経済圏における投資戦略として、USDCを発行する米サークル社など、AIや暗号資産決済によって成長が見込まれる業界への投資が挙げられた。
庶民の生存戦略としては、実体経済の労働価値を見直す視点が提示された。AIに仕事が代替される中、最終的には農業などの一次産業が勝つと岡部氏は分析。さらに番組内では、人がやりたがらない肉体労働や、人間同士の対面が不可欠なサービス業・教育分野の価値が相対的に高まるとの予測も交わされた。
今回の対談では、サナエトークンのような事案と適法な事業者が混同される現状が改めて浮き彫りになった。岡部氏が指摘したように、規制の明確化と参入障壁の軽減を両立できるかが、日本のステーブルコイン戦略の今後を左右しそうだ。
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