イーサリアム レイヤー2プロジェクト「Optimism(オプティミズム)」のコア開発者であるサニーサイドラボは20日、OPスタックに初のプライバシー機能「Privacy Boost(プライバシーブースト)」を公開した。OPスタックはオプティミズムが開発したオープンソースのブロックチェーン構築基盤で、Base(コインベース)やワールドコインなど50以上のチェーンが採用している。
今回のプライバシーブーストはまず、オプティミズム自身のフラッグシップチェーンである「OPメインネット」で稼働を開始し、今後数週間で他のOPスタックチェーンへの展開も予定されている。
企業のオンチェーン移行を阻む「プライバシーの壁」
オプティミズム・コミュニティが実施した調査では、オンチェーン決済の拡大において最も重要な要素として「組み込みプライバシー」が30.4%で1位に選ばれた。ファイナリティの高速化や手数料の低減を上回る結果である。
実際、大手決済事業者がOPラボに対し「顧客の取引データをパブリックな台帳に載せることはできない」と直接伝えた事例も紹介されている。取引金額や取引先の関係性がブロックエクスプローラーで誰でも閲覧可能な状態は、企業財務やトレーディング戦略を競合にさらすリスクがあるためだ。
ZK+TEEのハイブリッド構成で性能と秘匿性を両立
プライバシーブーストはゼロ知識証明(ZK)と信頼された実行環境(TEE)を組み合わせたハイブリッドアーキテクチャを採用している。ZKが演算の正当性と機密性を数学的に保証し、TEEがプルーフ生成の高速化(500ミリ秒以下)とスループットの確保を担う。セキュリティ監査はオープンゼッペリンが実施済みだ。
主な機能は4つある。UTXO型の暗号化トークン送金により残高や送金額をオンチェーンで非公開にできるほか、暗号化データ上でのスマートコントラクト実行、MiCA(EU)およびBSA(米国)に対応した監査可能なコンプライアンス機能、そして既存のOPスタックチェーンにそのまま導入可能なドロップインSDK(TypeScript・React・iOS・Android・Rust対応)を備える。
また、ユーザーの資産保護として強制引き出しメカニズムが組み込まれており、プライバシーブーストの運営者の状態に関わらずセルフカストディが保証される設計となっている。
Kelp DAOハック後のタイミングで「セキュリティ重視」の流れに合致
今回の発表は、4月18日に発生したKelp DAOの約2.93億ドル(約465億円)のハッキング事件を受け、DeFi市場全体でセキュリティとインフラの信頼性が問い直されているタイミングと重なる。イーサリアム共同創設者のヴィタリック・ブテリン氏も、前日の4月20日に香港Web3カーニバルで「速度よりもセキュリティを優先する」方針を示したばかりだ。
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OPラボのCEO兼共同創業者であるJing Wang氏は「銀行やフィンテック、機関投資家パートナーとの協業において、プライバシーは常に譲れない要件として挙がる」とコメントしている。
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