マルチチェーン取引ターミナル「LAB」のネイティブトークンLAB
LABが、2日にわずか2時間で77%急落し、約60億ドル相当の時価総額が消失する事態が発生した。複数のオンチェーン分析によれば、この暴落で取引を主導したのは個人投資家やクジラ(大口保有者)ではなく、ルーターやプロキシコントラクトといったインフラストラクチャ・アドレスだったとされ、暗号資産コミュニティでは「2026年で最も疑わしい暴落」との声が広がっている。
急騰から暴落までの経緯
LABは「マルチチェーン取引インフラ」を掲げ、ソラナ・イーサリアム・BNBチェーン・ベース上で現物・指値・無期限先物取引を単一インターフェイスで実行できるAI駆動の取引ターミナルとしてリリースされた。共同創業者はVova Sadkov氏(COO)とNaveed Rao氏(CEO)で、Lemniscap、Amber Group、OKX、Animoca、GSR、Gate、KuCoinなどから出資を受け、2025年10月にトークン生成イベント(TGE)を実施している。
LAB公式が1日に「バイバックプログラム(buyback.lab.pro)」を発表したことで価格は$7.31から$16.24まで24時間で67%急騰し、時価総額は一時60億ドルを突破。25位前後にランクインした。翌2日にはMEXC上で$27.96の過去最高値を更新したが、その直後の約2時間でおよそ$6付近まで急落した。

ルーター・プロキシが取引を主導した異例の構造
複数のオンチェーン分析者がXで指摘しているとおり、急落の2時間ウィンドウで観測された主要アドレスのほとんどは、リテール保有者ではなくルーター(取引経路を制御するプログラム)、プロキシコントラクト(代理処理を行うスマートコントラクト)、決済インフラだった点である。
オンチェーン分析者のStarPlatinum氏が3日にXで公表した分析によれば、この急落期間中の個人による最大売却額は$18.6Kにとどまり、単一のプロキシコントラクトが2時間で4,585回の取引を実行していた。数十億ドル規模の下落にもかかわらず、クジラ規模の売却が一切オンチェーンで観測されないことから、コミュニティでは取引インフラを介した不透明な売却が下落を主導したのではないかとの疑惑が浮上している。
背景にあるインサイダー集中保有疑惑
LABを巡っては、暴落以前から疑惑が指摘されていた。オンチェーン調査者ZachXBTは5月14日のXポストで、LABのフロート(流通供給)の約95%がインサイダーにより支配されていると主張。OTC取引やチームウォレットを通じた集中保有の構造を指摘していた。さらにZachXBTの調査では、BVI(英領バージン諸島)登録のシェルカンパニー「The Lab Management Ltd.」が月利7.5%のプライベートローン契約を結び、デフォルト時にLABトークンで市場価格にて返済する条項を持つことや、OTCで最大60〜80%のディスカウント価格で売却されていた事例が明らかになっていた。
LABは5月3日にも、モバイルアプリのローンチを契機に24時間で70%急落しており、急騰のたびに大幅な調整を繰り返してきた経緯がある。今回の暴落について、LAB公式からの正式なコメントは本記事執筆時点で発表されていない。



