東証グロース上場のアライドアーキテクツ(6081)は21日、米ナスダック上場のDeFi Development Corp(ティッカー:DFDV、以下「DeFi社」)及びマッコーリー・バンク・リミテッドを割当予定先とする第三者割当増資を決議したと発表した。新株式と3種類の新株予約権を組み合わせた4本立てのファイナンスで、総想定調達額は約31.5億円に上る。
4本立てファイナンスの全容
今回の資金調達は、DeFi社向けの新株式(1.8億円)及び第24回新株予約権(2.3億円)、マッコーリー向けの第22回新株予約権・MSワラント(24.3億円)及び第23回新株予約権(3.0億円)で構成される。発行決議日前営業日の終値296円を基準に、新株式の発行価額は267円(終値比9.8%ディスカウント)に設定された。
調達の中核を占めるMSワラント(第22回)は、行使の都度、前取引日終値の94%に行使価額が修正される設計だ。潜在株式数は890万株で、下限行使価額は148円。第23回新株予約権は当初行使価額を600円と高く設定し、同社が掲げる「目標株価」を反映した形となっている。
全新株予約権が行使された場合の希薄化率は約68.56%(議決権ベース約68.78%)に達する。直近6ヶ月以内の発行分を含めると通算で約88%に相当し、既存株主にとって大規模な希薄化が生じる構造だ。なお、マッコーリーは同社取締役・ファウンダーの中村壮秀氏との間で株式貸借基本契約(上限40万株)を締結する予定で、行使により取得する株式の範囲内でのみ売付けを行うとしている。
「オンチェーン経済圏」構想──資金の9割をデジタル資産運用に投下
同社は調達資金の約90%にあたる28.27億円を、ビットコイン
BTC、イーサリアム
ETH、ソラナ
SOLを中心とするデジタル資産の購入・保有・運用に充当する方針を示した。運用は日本・シンガポールの2拠点体制で実施する。国内では2026年3月に設立したアライドクリプト株式会社がCCO大木悠氏の統括のもと暗号資産の取得・保有・運用を担い、海外ではシンガポール連結子会社Allied Verse Pte. Ltd.がグローバル機関との取引基盤を活かしてDeFi運用を進める。
収益構造は、DeFi運用による利回り(α)、暗号資産(仮想通貨)の価格変動益(β)、市況非連動の事業収益(γ)の三層で設計されている。γの領域では、運用ノウハウを外部企業に提供する導入支援に加え、個人向けの暗号資産レンディングサービスやRWA(現実資産)トークン化商品のマーケットプレイス構築も視野に入れる。残り3億円はAI×オンチェーン領域での事業シナジー創出に充てる計画である。
割当先DeFi社はSOL特化型トレジャリー企業
DeFi Development Corp(DFDV)は2025年4月にSOL特化型のデジタル・アセット・トレジャリー(DAT)企業として始動した。約219.6万SOLを保有し、バリデーター運営とDeFi運用を組み合わせた利回りは11.4%に達する実績を持つ(一般的なSOLステーキング利回りは3〜7%)。自社株式のトークン化(DFDVx)やリキッドステーキングトークン(dfdvSOL)の発行など、RWA・DeFi領域で先進的な取り組みを展開している。なお、DeFi社の2025年12月期は約3,640万ドルの営業損失を計上しているが、大部分はSOL価格下落に伴う未実現評価損によるものとされている。
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さらに、DeFi社の主要メンバーが開発に関与するAPYXプロトコルには、暗号資産取引所のクラーケンやデジタル資産インフラ企業ビットゴーが参画しており、アライドアーキテクツは日本企業として唯一シード段階から加わっている。APYXはDAT企業の優先株配当を原資にユーザーへ利回りを分配する仕組みで、将来的に希薄化に依存しない資金調達手法としての活用も検討可能としている。
アライドアーキテクツはDeFi社との間で、同社の暗号資産運用ソリューションの日本展開を視野に入れた戦略的提携を協議中としている。ただし現時点では交渉段階にあり、具体的な決定事項はないと明記されている。DeFi社は取得する株式を中長期的に保有する意向を示しており、マッコーリーの短期売却方針とは対照的な位置づけとなる。
マーケティング企業からの転身
アライドアーキテクツはもともとマーケティングAX支援事業を主力とする企業だ。2025年11月にクリプト領域イネーブラー事業を立ち上げ、第三者割当増資で約2.97億円を調達。2026年1月には最高暗号資産責任者(CCO)として大木悠氏(ソラナSuperteam Japan前代表)を任命し、その後、前回調達資金の使途を変更して大半の2.2億円をシンガポール子会社への増資に充当した。同社の2025年12月期の連結売上高は約30億円で、営業損失が約1.9億円と赤字が続いている。
第三者委員会は本ファイナンスについて「必要性及び相当性が認められる」との意見を表明しているが、DeFi社との提携が未確定であること、マッコーリーが取得株式を短期売却する方針であることなど、留意すべき点も複数存在する。
なお同社は、今回のファイナンスの背景およびクリプト関連事業の中長期戦略を説明する「クリプト関連事業 戦略発表会」を5月15日にオンラインで開催すると発表した。取締役ファウンダーの中村壮秀氏とCCO大木悠氏が登壇し、モデレーターにはクリプトメディア「あたらしい経済」編集長の設楽悠介氏が務める。
※1ドル=158.80円で換算




