暗号資産(仮想通貨)ウォレット「MetaMask(メタマスク)」を開発するコンセンシスは14日、ロマンス詐欺と投資詐欺を対象とした保護機能の提供を開始したと発表した。送金を実行する直前に警告と質問を表示する仕組みで、モバイル版はv8.11以降、ブラウザ拡張機能版はv13.48以降で有効となり、すべてのEVM系ネットワークに対応する。
送金の直前に短い質問を表示
メタマスクは送金操作の裏側で、ロマンス詐欺や投資詐欺に特徴的な兆候をスキャンする。セキュリティパートナーであるブロックエイドによる照合も組み合わせ、悪性と判定された送金先アドレスを検出する。
不審な点が見つかった場合に表示されるのは、詐欺師が被害者に気づかせまいとする論点を突く短い質問だ。その相手と実際に対面したことがあるか、元本保証や確実な利益を約束されなかったか、送金を急かされていないか。同社によると、友人が隣にいれば尋ねるであろう問いを、ウォレットが代わりに投げかける設計だという。
検知の精度や質問が表示される条件について、同社は具体的な数値を開示していない。
遮断ではなく「スピードバンプ」
ウォレットの詐欺対策は従来、警告を表示して判断を利用者に委ねるか、取引そのものを遮断するかのいずれかに寄っていた。メタマスクは今回、その中間を狙ったとしている。
同社が選んだのは、危険を見逃しようのない形で提示したうえで最終判断を利用者に残すやり方だ。資金は利用者のものであり、先に進むとしても危険を認識したうえでそうしてほしいという立場を示し、この機能を壁ではなくスピードバンプだと説明した。
警告の場面で危険信号を一つずつ確認させることには、目の前の送金を止める以上の効果があるとも付け加えている。
国内でもSNS型詐欺の被害が急増
米連邦捜査局(FBI)のインターネット犯罪苦情センター(IC3)の2025年次報告によると、米国内だけで暗号資産の投資詐欺に72億ドル(約1兆1,107億円)の被害が結び付けられている。コードの脆弱性を突くのではなく、数週間から数カ月をかけて信頼関係を築いたうえで送金させる手口であるため、悪性コードやブロックリスト掲載の契約を探す従来型の対策では素通りしやすい。
日本国内でも同種の被害は拡大している。警察庁の暫定値では、2026年7月末時点のSNS型投資詐欺の被害額は881.2億円で前年同期比88.6%増、認知件数は6,566件で同75.6%増。SNS型ロマンス詐欺は被害額293.2億円、認知件数3,037件だった。
2026年からは、この2類型が特殊詐欺の一手口として位置づけられている。
ただし今回の機能が働くのはEVM系ネットワークでの送金時であり、詐欺の入り口から着金までのすべてを覆うものではない。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=154.26円)


