イタリア最大手銀行のUniCredit(ウニクレディト)が、暗号資産(仮想通貨)のカストディ(保管)と仲介業務への参入を検討していると、ブルームバーグが11日に報じた。関係者の話として伝えたもので、デジタル資産を保有し売買を仲介するためのインフラを構築する技術提供先を選定中だという。同行はコメントを拒否しており、議論は初期段階で最終決定には至っていない。
構想は初期段階、実績はVCトレード出資
報道によれば、検討されている領域は幅広い。トークン化された投資商品や債券の開発、顧客によるステーブルコインの利用、そして顧客が暗号資産にエクスポージャーを持てるようにすることが挙げられている。
ただし、どの技術提供先を検討しているか、どれだけの費用を投じるか、いつ選定するかはいずれも明らかにされていない。
構想の段階にあるカストディとは別に、ウニクレディトのデジタル資本市場への取り組みはすでに形になっている。同行は9月8日、フランクフルト拠点のフィンテック企業VC Trade(VCトレード)への少数出資を公式発表した。
VCトレードは、シンジケートローンやシュルトシャイン(ドイツの私募債)といった債務取引のデジタル基盤を提供する企業だ。出資額は非開示だが、将来的に持分を引き上げるオプションが付く。同行は欧州全域で顧客にデジタルな債務調達手段を届ける体制を強化するとしている。
37行のユーロ建てステーブルコインは公開イーサリアムへ
もうひとつの軸がステーブルコインだ。ウニクレディトは、2025年12月に欧州大手行が設立したQivalis(キバリス)の参加行の一角を占める。
アムステルダムに拠点を置く同社は、当初10行で始まった陣容を今年5月に大きく広げた。25行が新たに加わり、15カ国37行の体制となっている。イタリア勢ではインテーザ・サンパオロも名を連ねる。
技術面では4月にファイアブロックスを中核インフラの提供者に選定し、トークン化から資金管理までを担わせる。さらに9月8日には、発行基盤として銀行の許可制ネットワークではなく公開ブロックチェーンのイーサリアムを選ぶ方針が明らかになった。
もっとも、発行にはまだ関門がある。キバリスはオランダ中央銀行に電子マネー機関としての認可を申請中で、同社自身が現時点で認可を受けておらず電子マネーを発行していないと明言している。ローンチ目標は2026年後半だ。
欧州ではMiCA(暗号資産市場規則)の施行により、銀行が暗号資産分野でどう動けるかの見通しが立ちやすくなった。ウニクレディトの検討も、その環境変化を背景とした動きの一つといえる。


