暗号資産(仮想通貨)運用大手コインシェアーズは11日、マーケットアップデートを公開した。リサーチ責任者のジェームズ・バターフィル氏は、直近の米消費者物価指数(CPI)がビットコイン(
BTC)の上値を抑えているとしたうえで、米財務省の国債買い戻しプログラムが金利を下げられずにいることが、逆に長期的な支援材料になりうるとの見方を示した。
資金は流入から流出へ転じた
市場心理の変化は資金の流れに表れている。同社によると、デジタル資産投資商品には先週およそ13億ドル(約1,997億円)が流入したが、今週はここまで2億4,300万ドル(約373億円)の流出となった。
背景にあるのがCPIだ。ヘッドラインの数字はおおむね予想通りだったものの、コアがわずかに予想を上回った。市場はインフレの鈍化をビットコインが8万ドルを上抜けるきっかけの一つとして期待していただけに、期待が外れた形になる。
バターフィル氏は、この結果が米連邦準備制度理事会(FRB)に緩和の余地を与えるどころか、9月の利上げの可能性を高め、金融政策が長く引き締め的にとどまるリスクを強めたとみる。ビットコインにとっては当面の逆風だという。
同氏によれば、8万ドルを明確に超えるには、より弱い経済指標かFRBのハト派転換、あるいは別の政策要因が必要になる。
買い戻しの「失敗」が長期の支援材料に
その政策要因は、財務省から来るかもしれない。拡大された国債買い戻しプログラムは、長期ゾーンでの購入を増やしたにもかかわらず、長期金利を大きく押し下げるには至っていない。
同社は、このプログラムが流動性の面では機能している可能性を認めつつ、借入コストを下げられていない事実が、国債市場にかかる圧力の大きさを浮き彫りにしていると指摘する。財政への懸念や高止まりするインフレ、根強いタームプレミアムが、買い入れの効果を上回っているという見立てだ。
逆説的だが、同社はこの失敗が長期的にはビットコインを支えうるとみる。現行のプログラムでも長期金利が高止まりすれば、スコット・ベッセント財務長官により踏み込んだ介入を求める圧力が強まるからだ。原油価格の上昇も同長官を追い込む要因として挙げている。
その先にあるのが、金利を強く押し下げるための「バズーカ型」とも言える大規模な購入プログラムだという。
こうした踏み込みは、通貨価値の希薄化という物語を補強する可能性がある。財政見通しの改善を伴わないまま借入コストを直接的に抑え込む動きと受け止められれば、財政支配や債務の持続性、ドルの長期的な購買力への懸念が高まる。それがビットコインと金を支えてきた構図だと同社は説明する。
結果として、ビットコインにとっては異例の政策の組み合わせになっているとバターフィル氏はまとめた。足元のCPIは限界的にはマイナスに働くが、買い戻しプログラムの行き詰まりは、先々のより大規模な介入の確率を高めているという見方だ。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=153.59円)


