暗号資産(仮想通貨)取引所のビットバンクは14日、エンジンコイン(ENJ)の取扱いを廃止すると発表した。廃止は10月16日午前10時の予定。同社が扱うイーサリアム上のENJと、Enjin Relay Chain(エンジン・リレーチェーン)上のENJとの間で継続的な価格乖離が発生しており、適正な価格形成と安定的なサービス提供を続けることが困難だと判断したと説明している。
なぜ同じ名前で値が分かれるのか
背景にあるのは、エンジンが進めてきたチェーン移行である。同プロジェクトは、イーサリアム上のERC-20規格だったENJを、ポルカドットの技術基盤を使った独自チェーンへ移す作業を2023年から続けている。
移行の比率は1対1だが、仕組みが一方通行になっている。イーサリアム側のトークンをバーンアドレスへ送って焼却し、新チェーン側で同量を受け取る設計だ。エンジンの公式説明によれば、新チェーンのENJをイーサリアムのアドレスへ戻すことはできない。
公式のクロスチェーンブリッジも存在しない。つまり価格の高いほうの市場へトークンを移して裁定を取ることができず、2つの市場がそれぞれの流動性のなかで別々に値を付ける状態が続いてきた。
ビットバンクが扱うのは、このうちイーサリアム上のERC-20版である。
期限は2つ、9月30日と10月16日
利用者にとって、動くべき日付は2つある。先に来るのは信用取引の利用者向けだ。9月30日午前10時に、ENJの代用暗号資産としての掛け目が50%から0%へ変更される。
同社は、評価額が0%になる結果、保証金の状況によっては追証や建玉の強制決済、代用処分が発生する可能性があるとして、事前に建玉を決済するか保証金を追加で差し入れるよう促している。
もうひとつが10月16日午前10時の廃止だ。この時点で販売所の定期購入設定が解除され、注文の受付が止まる。取引所では新規注文の受付が停止され、未約定の注文は強制的にキャンセルされる。入金と出金の受付も同時に終わる。
保有したままにした場合、同社が市場価格に基づいて日本円へ換金し、口座の円残高に反映する。反映までは廃止日から1カ月程度を見込むという。ただし流動性が低下していれば、想定より低い価格で換金される可能性があるとしている。
自分で外部へ出金したい場合は、10月16日午前10時までに手続きを終える必要がある。同社が扱うENJはERC-20規格のため、イーサリアム以外のネットワークへは出金できない点にも注意が要る。
売却が困難だと同社が判断した場合は、円転せずENJのまま保管する。この場合、廃止日から5年間は返還請求に応じるが、5年を過ぎると返還できない場合があるとした。
なお、国内でENJを取り扱う交換業者は他にもある。同社は2026年9月時点の事業者として、バイナンスジャパンとオーケーコイン・ジャパンの2社を挙げている。


