米暗号資産(仮想通貨)取引所大手コインベースは10日、決済インフラを手がけるMoov(ムーブ)と提携し、地域の中小金融機関にステーブルコイン機能を提供すると発表した。対象はムーブが顧客に持つ1,000社超のコミュニティバンクと信用組合で、ステーブルコインの受け入れ、決済、リアルタイムの資金調達を、各機関が既に使っている決済システムの内側に組み込む。
銀行は暗号資産の基盤を作らない
提携の仕組みは分業になっている。ムーブがコインベースのステーブルコイン決済インフラを自社の決済基盤に統合し、金融機関は暗号資産用の技術スタックを一から構築せずに機能を追加できる。
技術面では、資金の保管にコインベース・デベロッパー・プラットフォーム(CDP)のカストディアル・ウォレット口座を使い、ステーブルコインの移動はPayments APIで制御する。想定する用途は消費者決済、加盟店での受け入れ、加盟店への入金、各種の支払いと幅広い。
コインベースはこの発表で、ステーブルコインをめぐる議論の前提にも異を唱えた。地域銀行とデジタル資産は、どちらかが負けなければもう一方が勝てない関係として語られてきたが、それは事実ではないという立場だ。
数百万人の顧客を抱える地域金融機関が、参加するために暗号資産企業になる必要はない。顧客との関係を保ったまま新しい送金手段を提供できるインフラこそが必要だとしている。
現場の需要は手数料と入金スピード
背景には、地域金融機関の顧客が既に直面している課題がある。ムーブのウェイド・アーノルド共同創業者兼最高経営責任者(CEO)は「地域金融機関の法人顧客は、すでにステーブルコインでの受け取りを求められている。そして今は、自分の金融機関の外でそれを行っている」と説明した。
創業125年のCitizens Bank of Edmondのジル・カスティーヤ会長兼CEOも、地元の要望を挙げる。「今、私たちの小規模事業者のお客様が求めているのは、インターチェンジ手数料を下げる方法と、より早く支払いを受け取る方法だ」
ただし、開始時期や対応するステーブルコインの銘柄、手数料といった具体的な条件は示されていない。両社は将来的に、地域金融機関が既に提供する他の金融商品とデジタル資産をどう結びつけられるかも検討するとしている。


