オンチェーン分析企業グラスノードは15日、市場全体を単一のスコアで示す指標「マーケット・コンパス」の最新版を公開した。総合スコアは100点満点中23点で、区分は5段階のうち下から2番目にあたる「Defensive(守り)」。前週から3ポイント低下した。7つのレンズ(分析視点)の一致度は「Aligned(整合)」とされている。
1カ月分のマクロ改善が1セッションで消える
スコアを押し下げたのはマクロ環境だ。マクロのレンズは週間で8ポイント下げて31点となり、「Neutral(中立)」から「Restrictive(引き締め的)」へ戻った。30日前と同じ水準で、ドル安によって進んでいた1カ月分の改善が帳消しになった形になる。
直接の要因はドル指数の反発である。99.48まで上昇し、200日移動平均の99.59をわずかに下回る水準まで戻した。過去1カ月に開いた差はほぼ埋まり、30日間ではほぼ横ばいに戻っている。
同時に、ビットコイン(
BTC)と他資産の連動性が弱まった。対ドルの相関は週間で約11%弱まって直近で最も0に近い水準となり、対金は6%超、対株式は13%超低下した。グラスノードは、ドルが逆風に転じる局面でビットコインがあらゆる資産から切り離されつつあると指摘する。
30日間で最も大きな追い風はドル指数、最大の逆風は2年物米国債利回りだった。
価格は戻り、保有者層は戻らず
価格面では、ビットコインが実現価格に対して約47%のプレミアムまで反発した。一方で短期保有者の利益圏にある供給は約74%まで低下し、週間で17%近く減っている。グラスノードは、価格は回復したがその背後にいる保有者層は回復していないとまとめた。
実現損益比率は2.63と今局面の高値を更新した。週間の上昇幅も縮小せず、むしろ再び拡大している。
サイクル局面のレンズは30点の「Accumulation(蓄積)」で横ばい。週間では5ポイント下げたものの、30日前の水準は大きく上回る。短期保有者MVRVは約1.10まで回復した。
グラスノードは、短期保有者の利益圏供給が70%を上回って安定するかを注視点に挙げ、これを下回ると限界的な買い手が規模を伴って損失を実現し始めるとしている。
投資家行動のレンズは30点の「Soft」で、週間1ポイント低下。ただし長期保有者の供給シェアは週間で2度目の上昇となり、前週の2倍のペースで伸びた。長期保有者の実現利益は週間で約15%減と今局面で最も急な低下を示し、ドーマンシーは5週連続で低下している。
最弱は資金フロー、唯一の改善はネットワーク指標
7つのレンズで最も低いのは資金フローと流動性の23点「Drained(枯渇)」で、5日連続の横ばい。30日前の29点から6ポイント下げており、資金の動きが止まった状態が続く。
個別の構成要素は必ずしも悪くない。スポット市場のテイカー売りは5セッションで最も浅く、ステーブルコインの供給は月1%超の伸びを維持している。
悪化しているのはファンドの需要だ。ビットコイン現物ETFは償還が深まる一方、設定は日量9,800万ドル(約152億円)前後にとどまった。同社は、この日量が上向くかどうかがこのレンズで唯一悪化している部分だとしている。
予測系のレンズで唯一改善したのがオンチェーン・ファンダメンタルズで、週間4ポイント上昇の52点「Flat」。今局面の最高水準となった。
アクティブアドレス比率が1カ月ぶりに週間でプラスに転じたものの、年間の基準線である0.97付近をなお下回る。大口エンティティの活動は週間で約18%減り、自らの基準を大きく割り込んだ。
デリバティブは週間3ポイント上昇の49点「Balanced」。時価総額比のレバレッジは約2.16%まで低下し、月間では15%減った。ビットコインの建玉は週間2%減、イーサリアム(
ETH)は2%増。インプライドボラティリティは39付近で横ばいだった。
オプション市場では、1カ月物のスキューが今局面の最大値から3分の1程度まで縮小し、カーブ前方が再びマイナスに転じた。前日に強まったヘッジ需要が1セッションで巻き戻された格好で、グラスノードはオプション市場が原資産よりも速く見方を変えたと評している。
同社は今後の分岐点として、ドルが200日移動平均を上回って引ければマクロの反転が確定し総合スコアはさらに低下する一方、投資家行動が上向けばそれを相殺するという2つの条件を挙げている。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=154.99円)


