韓国系のエンターテインメント企業でナスダック上場のK Wave Media(KWM)が、保有していたビットコイン(BTC)をすべて売却し、保有量がゼロになった。同社が6月30日に米証券取引委員会(SEC)へ提出した書類(Form F-3)で明らかになった。ビットコイン準備金戦略を打ち出してから、約1年での方針転換となる。
2段階でビットコインを売却
提出書類によると、売却は2段階で行われた。まず4月29日、同社は投資会社アンソン・ファンズとの証券購入契約の修正に伴い、保有する88BTC
BTCを売却し、600万ドル(約9.8億円)の債務を返済した。
続いて5月6日、同社は残る保有ビットコインをすべて売却した。売却の総額は6,422万1,193ドル(約104億円)に上った。これにより、KWMのビットコイン保有はゼロとなった。
同社は書類のなかで、準備金戦略そのものを放棄したわけではないとしている。ただし、当面は戦略を停止し、AI(人工知能)インフラへの投資に注力する方針だと説明した。
「韓国のメタプラネット」からAIへ
KWMは2025年、ビットコインを準備資産として保有する戦略を掲げていた。日本のメタプラネットに倣い、「韓国のメタプラネット」を標榜。最大1万BTCの保有を目指すと宣言し、注目を集めていた。
しかし2026年5月、同社は方針を大きく転換する。アンソン・ファンズから調達枠として確保していた資金のうち、残る4億8,500万ドルを、データセンターやGPU(画像処理半導体)計算基盤などのAIインフラに振り向けると発表した。
あわせて、子会社Play Co.の売却による債務削減や、社名を「Talivar Technologies」へ変更する案も打ち出した。これらの案は、7月に予定される株主総会で諮られる。この転換を発表した際、同社の株価は20%超下落した。
ビットコインを企業の準備資産とする戦略は、近年、上場企業の間で広がってきた。一方で、暗号資産の価格変動や資金繰りを背景に、保有方針を見直す企業も出ている。KWMの事例は、ビットコイン準備金戦略の難しさと、AIインフラへ資金を振り向ける企業側の動きを映すものといえる。
※円換算は1ドル=162.5円で計算。



