暗号資産(仮想通貨)リサーチ大手のグラスノードは9日に公開したレポートで、ビットコイン
BTCの上値には8万3,000ドルから8万6,000ドル帯に強力なレジスタンスが控えていると指摘した。売り圧力が低下する中、この壁を突破できるかが焦点だ。
3つの指標が示す「8万6000ドルの壁」
同レポートは、過去21日間でビットコインが23%上昇した一方、年初来では未だ10%の下落水準にあると言及した。その上で、8万3,000ドルから8万6,000ドルの価格帯に、相場の上値を抑える重要な3つの指標が集中していると分析している。
一つ目は長期保有者の平均取得単価である。同社によれば、8万3,000ドルから8万6,000ドルの価格帯では過去に約107万BTCが購入されている。価格がこの水準まで回復すると、含み損を抱えていた投資家による「建値での決済」が出やすくなるため、特に取引量が多かった8万5,000ドル付近が強力な上値の壁になっているという。
二つ目は、デリバティブ市場の清算マップである。同レポートによれば、8万2,000ドルから8万6,000ドルの間にショートポジションの清算レベルが集中している。直近でその規模が一段と拡大しており、価格上昇を阻む強固な壁になっているという。一方で、8万6,000ドルを完全に上抜ければ、これらのショート清算を巻き込んで急騰の燃料になると分析している。
三つ目はビットコイン現物ETFの動向である。ETFの損益分岐点は約8万6,000ドルに位置し、全体の含み損は直近で39億ドルまで縮小したという。価格がこの分岐点に達すると、長期間の含み損に耐えていた機関投資家からの建値決済が出やすくなるため、ここが強力なレジスタンスとして立ちはだかっていると同社は分析している。
このように上値には強固な壁が控える一方で、足元の市場では、価格がレジスタンスに接近しているにもかかわらず実際の売り圧力が極めて低い点に同社は注目している。市場全体の利益確定や損切りを測る指標は、直近ピークである8月の半分以下に留まっているという。
また、過去の相場天井付近で顕著に見られたような、ビットコインからアルトコインへの急激な資金移動によるシェア拡大も、現時点の市場では確認されていないと同社は指摘した。アルトコインの直近90日間のシェア変化はマイナスに留まっており、本格的な天井を示す兆候はないという。
インフレ指標と今後の価格推移のシナリオ
マクロ経済に目を向けると、米国のコアインフレ率は2.5%と2年ぶりの低水準を記録した。同レポートは、米国債利回りが高水準にあるものの、冷え込むインフレデータと照らし合わせると、追加利上げは正当化しにくい状況だとの見方を示している。
今後の展開について同社は、売り圧力が低い状態を保ちながら8万6,000ドルを上抜けた場合、上値の壁を吸収したと判断できると述べている。一方、再び売りが強まるか、6万2,000ドルから6万5,000ドルのサポートラインを割り込めば、このシナリオは無効になるとしている。
同レポートが示す通り、8.6万ドルには強力な壁があるが、これは逆に「抜けたら飛ぶ」ことを意味する。我々投資家としては、今の低い売り圧力は絶好の仕込み時と捉えられる。ただし、6.2万ドル割れのリスクも考慮し、現物主体で押し目買いを狙いつつ上値ブレイクを待つのが賢明な戦略だろう。
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