メキシコ・メキシコ州のアティサパン・デ・サラゴサで、被害者宅にあるとされた暗号資産(仮想通貨)を狙った強盗殺人事件が発生し、メキシコ州検察局(FGJEM)は容疑者2人を逮捕したと発表した。地元紙ラ・ホルナダによると、検察は犯行の動機を「数百万ドル相当のビットコイン(
BTC)を収めたコールドウォレットの強奪」と説明している。暗号資産の保有者が物理的な暴力の標的となる事件は世界的に相次いでおり、日本の保有者にとっても他人事ではない。
暗号資産ウォレットを狙った強盗殺人
検察の発表によれば、この事件は9月1日に発生した。容疑者の1人は、被害者と信頼関係のある人物を装って自宅へアクセスしたとされる。犯行後、容疑者2人は逮捕され、当局は司法手続きを進めている。
事件の背景として検察が挙げたのが、被害者が多額の暗号資産を保有しているという容疑者側の思い込みだった。容疑者は室内にあると見込んだコールドウォレットの奪取を狙い、成功時には共犯者へ報酬を渡す計画だったという。
本件は容疑者の逮捕・訴追の段階にあり、動機を含む詳細は今後の司法手続きで明らかにされる。JinaCoinは事件そのものの凄惨な詳細については、被害者や関係者への配慮からこれ以上立ち入らない。ここで注目すべきは、暗号資産が物理的な犯罪の標的になったという事実だ。
暗号資産保有者に物理的な暴力や脅迫を加えて資産を奪う手口は、「レンチアタック」と呼ばれる。ハッキングのような技術的な攻撃ではなく、保有者本人を直接襲うのが特徴だ。
この手口は近年、世界的に増加している。暗号資産セキュリティ企業サーティックは2026年、レンチアタックが年初来で前年比41%増加し、被害額が約1億ドルに達したと報告した。攻撃は事前に個人情報を収集する手口へと巧妙化し、家族など周辺の人物を標的に圧力をかける事例も増えているという。
フランスでは2025年、ハードウェアウォレット大手レジャーの共同創業者が自宅から誘拐される事件が起き、当局が対策に乗り出した。ビットコイン価格が高値圏を維持し、暗号資産の保有が個人に広がるほど、こうした攻撃の誘因は強まると分析されている。
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保有者が取るべき自衛策
物理的な攻撃から身を守るには、まず「自分が多額の暗号資産を保有している」と他人に知られないことが基本となる。
各国の当局やセキュリティ企業は、SNSでの資産状況の誇示や、居場所が特定される位置情報の共有を避けるよう繰り返し警告している。保有額や取引の様子を公開の場で見せることは、攻撃者に標的として認識される入り口になりかねない。
資産の保管面では、すべてを1つのウォレットに集中させず分散すること、日常的に使う少額の資産と長期保管分を分けること、そして強要された際に一部だけを渡す「おとり用ウォレット」を用意しておくといった対策が有効とされる。
技術的な防御だけでなく、保有していること自体を秘匿する意識が、実世界のリスクから身を守る第一歩となる。
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