米暗号資産(仮想通貨)取引所大手コインベースは4日、米国で個別株のパーペチュアル(無期限先物)を提供するため、米証券取引委員会(SEC)に届出登録を提出したとXで明らかにした。提出日はいずれも9月1日付である。
同社はSEC、CFTC(米商品先物取引委員会)の両当局と緊密に連携し、主要な金融商品を米国内に取り込んでいくとしている。
2つの法人が別々に届け出た
提出されたのは2件だ。デリバティブ取引所を運営するコインベース・デリバティブズが、証券先物商品を扱う取引所としての届出登録にあたる「Form 1-N」を提出した。
もう1件は、ブローカー部門のコインベース・フィナンシャル・マーケッツによる「Form BD-N」である。1934年証券取引所法15条(b)(11)に基づく、証券先物商品ブローカーディーラーとしての届出登録だ。
2つに分かれているのは、証券先物商品がSECとCFTCの共同管轄下にあるためだ。取引所と仲介業者がそれぞれ別個に届け出る仕組みになっている。
重要なのは、これが届出登録の段階にとどまる点である。提出書類には取引開始時期も、対象となる銘柄の一覧も、レバレッジの上限も記載されていない。商品の承認や上場が決まったわけではない。
同社の最高政策責任者ファリヤー・シルザド氏によると、今後はCFTCによる商品の承認が別途必要になる。同氏は、株式パーペチュアルは海外ですでに需要が実証されており、米国の投資家に規制された取引経路を提供できる可能性に期待していると述べた。
海外向けにはすでに提供済み
コインベースは米国外の顧客に対して、個別株パーペチュアルをすでに展開している。2026年3月に適格利用者向けに開始し、アップル、マイクロソフト、エヌビディア、アマゾンなどの個別株を対象に24時間365日の取引を提供してきた。
同社の国際版の商品説明によれば、パーペチュアルの保有者は議決権など原資産の株主としての権利を持たない。株式そのものではなく、価格に連動するデリバティブへのエクスポージャーを得る形になる。
8月25日の提言と地続き
今回の届出には伏線がある。シルザド氏は8月25日、SECとCFTCが共同で実施した無期限デリバティブの商品定義に関する意見募集(RFC)に回答書を提出したと明らかにしていた。
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その中でコインベースは、株式を原資産とする無期限先物を「証券先物」として明確に分類するよう求めていた。今回のForm 1-NとForm BD-Nは、まさにその証券先物商品の枠組みに乗せるための手続きにあたる。提言から届出まで1週間ほどの間隔しかない。
米国の連邦法はデリバティブを先物とスワップに大別するが、資金調達率で原資産との価格差を調整する無期限先物は両方の性質を併せ持ち、法的な分類が定まっていなかった。この曖昧さが、米国で無期限先物が提供されてこなかった一因である。
今回の届出は、コインベースが2026年に進めてきたデリバティブ拡張の延長線上にある。5月にはCFTCが、同社が買収したオフショア取引所デリビット(Deribit)に上場するデリバティブへ米国の適格機関がアクセスする件で、規制上の措置を認めた。
6月には、グローバルの暗号資産パーペチュアルへのアクセス提供が米国で承認されたと報じられている。
同様の動きは業界全体に広がっている。分散型取引所ハイパーリキッドはクラーケンの親会社ペイワードを通じた米国参入を協議中で、同プラットフォーム上ではHIP-3経由で個別株やプリIPO銘柄のパーペチュアルがすでに取引されている。
オフショアで発達した無期限先物を米国の規制枠に載せる競争が、分散型と中央集権型の双方で同時に進んでいる。
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