ブロックチェーン開発企業コンセンシス(CSI)は9日、暗号資産(仮想通貨)ウォレット「MetaMask(メタマスク)」を中心とする消費者向け事業と、機関投資家向けブロックチェーン事業を分離すると発表した。CSIは「メタマスク」に社名変更し、法人向け事業は新会社「コンセンシス」が引き継ぐ。分離完了は2026年末を予定する。
暗号資産の個人利用と法人需要、双方の拡大に対応
今回の事業分離について同社は、消費者向けと機関投資家向けの双方で市場環境が転換期を迎えているためだと説明している。個人向けではセルフカストディ型の金融サービスが普及する一方、機関投資家によるブロックチェーン活用も、実証実験から本番環境への導入段階に移りつつあるという。
こうした市場の変化に対応するには、それぞれの事業に適した運営体制や投資戦略が必要になったとしている。新体制では、既存会社がメタマスク社へ社名変更し、コンセンシス共同創業者でイーサリアム共同創設者のジョー・ルービン氏がCEOを務める。
メタマスク社は、利用者自身が秘密鍵を管理するセルフカストディ型の暗号資産ウォレット「メタマスク」を引き続き運営する。同ウォレットは約190カ国で1億回以上ダウンロードされ、プラットフォームを通じた累計取引額は数兆ドル規模に達したという。
同社は今後、暗号資産ウォレットを軸に、資産の保有や運用、決済、取引などを一体的に扱う金融プラットフォームへの事業拡大を進める。その一環として、自動運用による収益獲得や即時決済、ワンクリック取引を1つの残高で利用できるセルフカストディ型口座「マネーアカウント」を提供している。
また、メタマスク社はイーサリアムを中心としながら、複数のブロックチェーンやトークンへの対応を継続する。今後は暗号資産だけでなく、伝統金融の商品へのアクセスも拡大する方針を示している。
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機関向け事業は新会社コンセンシスが継承
一方、新会社のコンセンシス社は、イーサリアムやレイヤー2「Linea(リネア)」、イーサリアム実行クライアント「Besu(ベス)」などの開発を引き継ぐ。今後は金融機関や企業によるブロックチェーンインフラの導入や、トークン化金融市場への参加支援にも注力する方針だ。
同社は、イーサリアム関連のプロトコル開発を継続しながら、機関投資家向けのアプリケーションやプロトコル開発も進める。相互運用性やプライバシー、大規模運用への対応など、金融市場で求められるインフラの提供を進めるとしている。
米金融大手シティが発表した報告書では、トークン化資産の市場規模は2030年までに最大8.2兆ドルに達すると予測されている。コンセンシスは、こうした市場拡大を背景に、機関投資家向けのブロックチェーン基盤やトークン化市場への対応を強化する方針だ。
投資家が見るべき点は、会社分割そのものより、メタマスクがウォレットから決済・運用へ利用範囲を広げられるか、コンセンシスが金融機関のトークン化需要を取り込めるかである。進展すれば、イーサリアムやリネア上の取引、ステーブルコイン利用にも影響が及ぶ可能性がある。


