融資から預金、投資までを1つのアプリで手がける米ソーファイ・テクノロジーズ(ナスダック:SOFI)と、暗号資産(仮想通貨)取引所クラーケンの親会社ペイワードは3日、戦略的提携を結んだと発表した。
ソーファイは傘下に国法免許銀行のソーファイ・バンクを持ち、会員数は1,580万人にのぼる。今回の提携は、銀行の決済インフラと暗号資産市場を双方向で接続する内容となる。
銀行のドル決済網に取引所がつながる
提携の柱のひとつが、ペイワードのソーファイ・テクノロジーズ・ネットワーク(SEN)への参加である。SENはソーファイが運営するリアルタイム決済ネットワークで、参加することで機関投資家顧客は24時間365日体制でドル建て取引を清算・決済できるようになる。
従来の銀行営業時間を超えて決済が可能になれば、常時稼働している事業者にとって資金移動と流動性管理の制約が外れる。クラーケンもSENに接続し、機関顧客は両ネットワーク間でドルを移動できるようになるという。
逆方向の接続もある。ソーファイはペイワードのプライムブローカレッジ「クラーケン・プライム」を、暗号資産取引の執行における追加の流動性源として採用する。ソーファイのアプリ内で暗号資産を売買する会員に、より良い価格を提供できるようになるとしている。関係が拡大すれば、適格カストディ機能も利用可能になると説明する。
ソーファイのアンソニー・ノト最高経営責任者は、市場が開き続けているのに金融システムが停止すべきではないと述べ、国法免許銀行の強みと技術を組み合わせて常時稼働型の経済に向けた金融インフラを構築していると説明した。
ペイワードのデビッド・リプリー共同最高経営責任者は、数百万人が給料を受け取るのに使っているアプリの中で初めて暗号資産を購入することになると述べている。
銀行発行ステーブルコインがクラーケンへ
もうひとつの柱が、SoFiUSDのクラーケン上場である。銀行が発行するステーブルコインが、世界有数の暗号資産取引所で取り扱われることになる。
SoFiUSDはソーファイ・バンクが発行するドル建てステーブルコインで、ソーファイ・バンクで1対1の米ドル償還が可能である。イーサリアムとソラナ上で発行され、裏付け資産は同行が保有する流動資産、準備の状況は米国の公認会計士による定期的なアテステーションで示される。
2025年12月に法人向けに提供が始まり、2026年5月27日に一般会員向けへ拡大した。公開・パーミッションレスのブロックチェーン上で米国の国法免許銀行が発行したステーブルコインとしては初のケースにあたる。
GENIUS法の規定により、決済用ステーブルコインの発行者は保有者に利息を支払えない。このためSoFiUSD自体に金利は付かず、FDIC(連邦預金保険公社)の保険対象にもならない。
ソーファイは5月時点で、規制対象の取引所ブリッシュ(Bullish)への上場を計画すると公表していた。今回のクラーケン上場により、リテール、プロ、機関投資家を含む幅広い層がSoFiUSDにアクセスできるようになるとしている。
ソーファイ・テック・ソリューションズ経由では、銀行やフィンテック企業を通じて世界で1億3,400万を超える口座にサービスを提供している。
同社は2026年4月に、法人向け銀行機能と暗号資産機能を統合した「Big Business Banking」を開始した。今回の提携は、その枠組みを実務に載せるものと位置づけられている。
ペイワードはクラーケンの基盤層を担う金融インフラ企業で、ニンジャトレーダー、ブレークアウト、xStocks、CFベンチマークスといった製品群も展開している。
単一の流動性プール、統合されたリスク・証拠金エンジン、共通の担保・決済システムの上で複数の商品を動かす構造を採っており、製品ごとに顧客層と規制環境を切り分ける設計だ。
同社をめぐる動きは今週に集中している。ブルームバーグは8月31日、ペイワードが分散型取引所ハイパーリキッドの米国参入に向けて協議を進めていると報じた。OCC(米通貨監督庁)が8月に示した審査中の暗号資産関連の銀行免許案件13件にも、同社の名前が含まれていた。
なお今回のプレスリリースには、SENへの参加やSoFiUSD上場の具体的な開始時期は記載されていない。文末には将来見通しに関する注意書きが付されており、実現が保証されるものではないとしている。
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